【WT】ずっとお慕いしております【shk】 (ページ22)

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第二十話ページ22

kn「だって国内だったら顔とか知られてるし、気軽にデートなんて出来ないじゃん？だから隣国行こうよ。」

『確かに、きんときは幹部だから顔知られてるけど』

今私達は、隣国に向かう電車に乗っている。行くことが確定していたかのように彼はポケットの中から切符を取り出し、有無を言わせることなく乗せられた。
因みにグリーン車で人が殆ど居ない。

kn「基本スマイルが行ってるし、俺は書類とかしてる事が多いから、あんまり顔は知られてないと思うんだよね」

『…軍のＮｏ．２を隣国が知らないのは如何なものかと』

kn「外に出ない俺が悪いから」

そうは言うものの、隣国なのだから幹部の顔くらい知っていた方がいいのではないか、と思う。

kn「それに知られていない方が、楽だしね。」

そう言って微笑むきんときはいつも通り穏やかだ。

『で、今日はどこに行くの？』

kn「それ言ったら楽しみなくなるでしょ？だから秘密。」

口元に人差し指を持っていてそんなことを言う彼は、どこか楽しそうだ。彼が楽しめているのならそれはそれでいい事なのだが。

『そういうもんなのね。あと、隣国まで何分くらい？』

kn「軽く30分は掛かるかな。どうして？」

『んー、眠いから寝る。肩貸してね』

どうせここには私達の関係を知っている人はいない。なら、思う存分昔みたいに接することにした。だから許可は取らない。これが素の私だと思うから。

kn「…ほんっと、そういう所だよ、A…」

顔は隠しているし、この角度からじゃ見にくい。けれど嫌がらないからこのままだ。

『嫌じゃないでしょ。なら暫くこのままね。おやすみ』

kn「おやすみ」

そのまま私の意識は落ちていった。

kn視点

Aは昔から変な所が鈍感だ。今だって、昨日告白された男の傍で普通に安心しきって眠ってる。

『…好きな男の前で無防備って』

Aには聞こえないくらいの小さな声。気持ちよさそうに眠ってるから、少し腹が立って痛くない程度に頬を抓る。

「ん"…」

呻き声のようなものを上げながら眠るAに笑みが毀れる。俺はゆっくりと顔を近付け、あと一歩で触れ合うであろうところで、止まった。

『ここで手を出せないから、俺はいつまで経ってもヘタレなんだろうな』

少しだけ離れて、そんな事を口に出す。
でも、それでも俺はシャケには負けないよ。何年Aの傍にいて、好きだったか知らないだろうから。

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