【WT】ずっとお慕いしております【shk】 (ページ13)

今日:15 hit、昨日:6 hit、合計:97,113 hit

第十一話ページ13

『疲れた』

パーティも中盤。運ぶものも少なくなり、誰も見ていないであろう端の方の壁際に寄りかかってため息を吐いた。
年に数回行われるこのパーティだが、毎度毎度会場の大きさと提供する料理の多さ、そして何より、客人の対応がとてつもなく疲れる。

そんな中幹部様方はと言うと

nk「ちょ、スマイル！ちゃんと対応して！」

sm「Nakamu対応しといて。俺あっちに食べたいのあるから」

br「僕もう眠いんだけど〜」

shk「あー、俺そういうの嫌いだから」

kn「ごめんね。好意だけ受け取っておくよ。」

kr「はぁ？別にどうでもよくね」

…多種多様だが、いつもと変わっておられないようで安心する。こんな事を思うのもおかしいが。

「珍しい事ね、貴方がそうやって他人を見るのは」

いつ来ていたのか、メイド長が気づかない内に隣に立っていた。

『願っては、いけないことでしょうか』

「いいえ。それでいいのよ。貴方はもう少し、自分を大切にした方がいいわ」

『…善処は致します。ただ、すぐには無理そうです。』

これは、ずっと教えられてきたこと。自分よりも他人を優先して主人を守る事。それが今の、私の構築に繋がっている。

「少しずつでいいのよ。そうして、自分を大切にしていけば。私は指示を出すためにもう行くけれど、貴方は少し休憩なさい。」

去り際に頭を撫でて、メイド長は侍女に指示を出すために居なくなった。

メイド長は私がここに来た頃から気にかけてくれる、優しい方。それでいて、その名に相応しく、私達侍女を導いて下さる方でもある。

『私も、あの方のようになれるだろうか』

「あの方って？」

独り言を呟いた筈だが、それを誰かに聞かれていたようでそちらを向く。

『…ただの独り言ですよ、きんとき様。』

先程まで目線の先にいた、幹部様の一人、きんとき様であった。

kn「そっか。…髪、また伸びた？」

髪をひと房掴んで、彼は尋ねた。紳士な彼の行動は、乙女の憧れなのだろう。

『関係ありませんよ。あと、掴むのやめてください。』

手を払って距離をとる。先程から淑女であろう方々からの視線がずっと向いているので違和感しかないのだ。私はこうやって、目立つべきではない。

kn「いつまで経ってもAは変わんないね。あの頃のまんま」

それなのに、彼は気にしないとでも言うように距離を縮めてくる。

『…貴方も、あの時と変わらないのね』

kn「俺はずっと変わんないよ。Aが変わらない限りね」

嗚呼、胸糞悪い。