【WT】ずっとお慕いしております【shk】 (ページ12)

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第十話ページ12

貴方視点

シャークん様に貰った紅茶を飲みながら、私は一つ、ため息を吐いた。今日はとても濃い一日だった。

『幹部様のシャークん様と夕食を共にし、友人のような距離感にまで発展した。』

言葉にしてみると実際では有り得ない様な事なのだが、実際に起こったのだから受け入れるしかないのだろう。

『侍女なのに、本当にいいのだろうか。』

確かにシャークん様とはそのような間柄になり、料理もご馳走して頂いた。しかし、私とシャークん様はあくまで主従関係。それ以上にもそれ以下でもない。それなのに

『それ以上を望むのは、悪いことでしょうか。』

独白はすぐに消えた。

翌日、昨日とは比べ物にならないくらい城の中は騒がしい。

「あなたはこの料理を持って行って、あなたはお客様をパーティ会場まで連れて行ってもらえる？…それは、中庭に置いてもらえるかしら」

メイド長が指示を出しながら、私達はそれに従うようにその場所に向かい、言われたようにお客様を案内したり、料理を運んだりと休む暇がない。

『メイド長、こちらも運んでよろしいですか？』

「えぇ、お願い」

私も自分でやれる事を見つけて、それを遂行する。昨日のことは夢だと思って、こうやって動いた方が気が紛れる。昨日のあの、胸の鳴り方はきっと幻想だと思った方が。

パーティ会場には国民の方から国のお偉いさん、どこかの財閥の令嬢と、この国が如何に友好なのかがよく分かる人達ばかりが多い。その中でも一際目立っているのは

「Brooook様、是非次は私の国で観光を！」
「スマイル様、この後お暇でしょうか？でしたらこの国の案内をして頂きたいのですが！」
「きりやん様、私の気持ちです。受け取って頂けますか？」

幹部様方の異常な程の人気。
総統様含め幹部様は全員顔がいい。ああいう方々には格好の獲物なのだろう。普段は着ない軍服を着ているからか、メイドも手を止めて幹部様を見ている姿がチラホラと映る。

「そちらのグラス、貰えるかしら」

『はい、構いませんよ。』

トレーの上のお酒の入ったグラスを指さしながら婦人に尋ねられ、取りやすいように胸の高さまで持っていく。

「あら、気の利くお嬢さんなのね。ありがとう。」

『いえいえ。どうぞ、お楽しみください。』

婦人は一つだけ持って、その場を立ち去られた。