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「久々の休日だね。」
「…うん、そうだね、」
家からさほど遠くない公園まで散歩に来た。
いつもなら、ジスと2人で過ごせるこの時間が楽しみで仕方ないのに
どうやら今日は違うみたい。
ジスが私だけを見てくれないとわかったからだろうか。
もう少し違う出会い方をしていたら、私たちは普通に恋できたのかな。
私はジスの、愛しい人、になれていただろうか。
「…A、元気ないね。」
今目の前で心配顔をする彼のこの表情も言葉も全部、
……嘘だったなら
もうジスがわからないよ。
「…ううん、ジスは今、幸せ?」
ああ、重たいな、私って。
こんなの、誰だって嫌になるよ。
「…ねえ、知ってる?」
そう言い、私の手を両手で包み込む彼。
「Aはね、自分がしてほしいと思う質問を人にするの。」
「…え?」
「だから今、Aは自分に聞いたんだよ。」
幸せなの?って。
私は今、
「そんなのっ、んっ…、」
「大丈夫、言わなくていい。無理しなくていいよ。」
唇に置かれたジスの人差し指。
私が言葉に詰まること、わかっていたのかな。
無理にでも今、幸せだよって言わないと、目の前にいるジスが傷つくかも、なんて。
そんな私の考えさえも、ジスにはわかってしまうんだ。
どうしてそんなに優しくしてくれるの、って
私のこと、好きじゃないなら
契約結婚、って割り切ってくれた方が嬉しいというか
私の一方的な感情の方が、ジスのこと巻き込まずに済んだのかな、って。
いつも私が勘違いしてしまいそうなことをするから
ジスは本当にずるい人だと思う。
「…ジスは、今」
あなたはこの問いに、
「…私のこと、好き?」
なんて答えるの?
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作者名:くんかりん | 作成日時:2022年11月4日 18時