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代償 ページ29
「首領、中原中也、ただいま戻りました。」
ノックをして、言う。
「うむ、入り給え。」
ドアを開け、帽子を脱いで胸の前に抱え、深く一礼して部屋に入る。
「礼儀は完璧になったようだね、中也君。今後もこの感じでよろしく頼むよ。」
今日ばかりは、首領の軽口に少し嫌気が差す。
「中也にぃ……中原幹部候補、お疲れ様でした。」
首領の後ろからそっと顔を出したAに、図らずも顔が引きつったようになった。
悟られまい、俺は何も知らない、知らないのだ。
「Aちゃん、ずっと気にしていたのだよね。薬の効果はどうだろうか、ちゃんと効いて、中原君の任務の助けになれるだろうかって、ね?」
「も、森さん!言わないでって言ったじゃないですか!」
無邪気なAを見て、胸が痛む。
嗚呼、料理がうまく出来ているか聞いてくる時の、あの、不安と期待に満ちて輝く青い瞳。
その目で毒薬のことも語るのか、自分の肉親を殺めるためとも知らずに。
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作者名:あおい | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/konchawa/
作成日時:2020年4月29日 0時