老人 ページ25
「よォジイさん、邪魔するぜ。」
見張りもついていない、扉の前に立ち、そのまま押し開ける。
扉はひしゃげて、倒れる。
危機感ねぇのかこのジイさん。
「ポートマフィアの御仁か。儂もそろそろこの世を引退かの。」
椅子に腰掛けた老人は、これから自らの身に降りかかる災難を、既に知っているのだろうか。
そう錯覚するほど、自分の正体を見破って尚、恐れる素振りを見せない。
「あぁ、そうだ。俺がテメェの死神だ。」
これはね、一発で相手の動きを止められて、尚且つ最小限の声で喋らせる事が出来て、最後は中原君が煮るなり焼くなり好きなように出来るような薬にしてもらったんだよ。
本当だろうか。
使ってみなければ分からない。
「異能力【汚れつちまつた悲しみに】」
呟き、掌に握っていた小瓶を割る。
無重力空間で丸くなった猛毒は、その形のまま老人の口に吸い込まれ、そして消えた。
「ジイさん、気分はどうだ?」
「嗚呼、幸せだよ。」
消え入りそうな声に、耳を、疑った。
幸せ?毒を盛られて?
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作者名:あおい | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/konchawa/
作成日時:2020年4月29日 0時