漆黒 ページ24
闇に紛れて、疾走する。
バイクの音が闇を切り裂き、目的地に到着する。
単独任務だ。
外套のポケットにしまっていた小さなビンを取り出して、眺める。
無色透明、臭い無し、それでも毒。
これを誰が作ったのだろう。
アイツの異能は、【告ぐるうた】。
調合して作られるもの全てにおいて、作りたい、と強く望んだ物の調合比率、材料を知ることが出来る。
名称を知らなくても、味、匂い、見た目、効果等を正確に思い浮かべることができれば良い。
ただし、共有は不可能。
共有が不可能な理由は、異能発動中はぼんやりとして、人の言葉を認識できなくなり、自分がどこに居るのかも分からなくなってしまうためだと、首領は言っていた。
そのために萩原ユキがいる。
アイツがいなかったら、多分Aはこの組織にいられない。
アイツがいるから、Aはいつの日か有能な化学班構成員となることを期待されて、この組織にいられているのだと、思う。
正確な事は分からない。
俺はまだ、首領の下で働き始めて長くない。
多分まだ3年くらい……か?
けれど、11歳だったアイツも、もう13歳。
そろそろ科学者の仕事始めかもしれない。
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作者名:あおい | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/konchawa/
作成日時:2020年4月29日 0時