マーガレットの告白・3 ページ3
*
「で、何でAちゃんは謝ってるの?」
「お前は知らなくていいことだ」
「えー、何でさ。俺も知りたい!」
「いいからいいから」
「あ、わたっち何の話だったの?」
「え、えと、すみませんちょっと言えないです……」
ありがとう渡君。
みなさんが私に優しくてホッとしていると、にこにこしながら及川さんが私の目の前に、しゃがんで――え!?
やっぱり私の体石になる。及川さんは相変わらずの笑顔で、私にこう聞いた。
「じゃあAちゃんに聞こうか。何の話?」
ああ――やっぱりこの人性格悪い。
*
「あー……私が入部したきっかけが、そ」
「何正直に言ってんのお前!?」
「え?」
「わざわざ隠してたの意味なくなるだろ!!」
「……は?」
二年生に口々に言われてポカンとする。何? 何言ってるの皆?
そしてようやく、私はとある誤解がまだ解けていないことに気がついた。
「いや、だから、及川さん目当てだったってのは昔の」
「えっ何Aちゃん俺目当てだったの!?」
「全部言い終わってないのに割り込まないでください」
冷静に言うと、揃って不思議そうな顔をするみなさん。
だからっ……あー、ややこしい!
「それは昔の話なんです!! 今はっ、全然っ、まったくそんな気持ちありませんから!!」
「……え? ……あれ? 岩ちゃん、俺振られたの?」
「みてえだな」
必死になって説明するけど、鈍いのかぴんとこないようで。
たしかに及川さんはかっこいいし、「あの先輩がいるなら」――なんて思って入った訳だけど。でもそれは、本当に最初だけ。
「三ヶ月ぐらいで幻滅して私の中でなかったことになりました」
「……Aちゃん今日一段と当たり強くない?」
「気のせいです」
とにかくもう忘れてください!! ほら及川さんも戻ってきたし、練習練習!!
なんとかうやむやのまま終わらせる。ああ疲れた、と思っていたらひょっこりと及川さんが私の横に顔を出した。相変わらず心臓に悪い。
「Aちゃん本当だよね?」
「……嘘言った覚えはありませんけど」
「そっかあ。あ、これよろしくね」
回収し損ねていた及川さんのボトルを受け取った。及川さんは満足したように頷いて、さあやるよー! と全体に呼びかける。
……ところで。
弱ったことに、私はまだ、言えない秘密を抱えていた。
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マーガレットの花言葉『秘密の恋』
やっぱり及川さん。私はどうやら及川さんを書かないと落ち着かないらしいです。
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スマトラ島のラフレシア(プロフ) - ★マチャキ★さん» 好きだったらだいたい書いてますよー。 (2016年7月20日 19時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
★マチャキ★ - 照ちゃんあった!! (2016年7月19日 20時) (レス) id: a549331ee4 (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 彗華@京都へ行きたい (元:凰華)さん» そしてお察しの通り、及川さん大好きです。色々書きたくなるので、最初と最後に入れてるだけなんですけどね。前作も前々作も読んでくださってありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年4月18日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 彗華@京都へ行きたい (元:凰華)さん» コメントありがとうございます!とんでもない、長文コメント最高に嬉しいです…!!私も実は「この続き書きたいなぁ」なんて毎回思ってまして、うーん……したい、ですねぇ……(笑) (2016年4月18日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
彗華@京都へ行きたい (元:凰華)(プロフ) - 前作、前々作を見て思ったのですが【及川さんで始まり及川さんで終わる】というループみたいなものが出来ているように感じました。作者様は及川さんが好きなのでしょうか?更新頑張ってください。応援しています!(長くなってしまいすみません) (2016年4月17日 22時) (レス) id: 4e64820097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年4月14日 18時