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#2 盗み聞き ページ5

「ええやんそれ」

「何言うてん全然よくないわ」

「いや、やっぱ攻めていかないと振り向いてくれませんよ」



バッディング練習も終わり、シャワーで汗を洗い流してからロッカールームへ足を運んでいると、
後輩たちの話し声が聞こえ、髪を拭きながら廊下で立ち止まる。

盗み聞きのようで趣味が悪く思えるが、
おそらく恋のと悩み相談を後輩たちがしている最中に、のそのそと先輩がロッカールームへ入ってくることの方が場の空気を悪くしてしまうであろうという考た上での行動なのだ。


鮮明には声を聞きとれないが、颯一郎・宮城・山本の3人の話し声だと思われた。

そんな日本球界を担う若者たちの色恋沙汰が少しばかり気になってしまい、
廊下の壁に寄りかかり聞き耳を立てる。



「度胸ないわ颯一」

「そういう問題ちゃうやろ」
「俺の今後がかかってんねん」

「別に大丈夫じゃないすか?そんな気にしなさそうやし」



一体何の話なのか、秦野は気になって仕方なかった。だがここで徐にロッカールームへ入り、話の内容を聞くのもなんだか違うなと感じながら話を聞いていると、ずっと先程のようなあやふやな内容ばかりで特定するのには少し難しかった。

すると気づいた頃には完全にロッカールームに入るタイミングを失ってしまい、
もう一度他チームメートが居るであろうシャワー室へ行くか迷ったがそれこそ怪しまれるため断念する。


そんなことを頭の中でぐるぐると考えていると、
いつの間にか話は終わったようで3人ともシャワー室へ向かうことになっていた。

秦野は咄嗟にやばいと思ったがその頃にはもう遅かったようで、
3人がロッカールームから出てきてちょうど秦野と鉢合わせてしまった。



「あ、」

「あ、やば」



そんな間抜けな声を出す山崎、それに続き宮城は思わず心の声が漏れてしまう。

どうやら恋の悩み?を相談していた張本人だった山崎は、秦野と鉢合わせ目を丸くして驚いていた。
それに対し山本は、ニヤニヤと笑みを浮かべクソガキっぷり満載な顔で宮城と顔を見合せていた。

そんな気まづい空気の中、秦野は口を開く。

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作者名:浪人生 | 作成日時:2024年3月19日 20時

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