24話:無力な自分は。 ページ24
No,side.
場所は打って変わって、とある大きな病院前。Aとニセは近くの花屋で生けるようの花を買い、例の少女と両親に会いに来たのだ。
一応、お昼すぎには帰ってきなさい。と言われているものの、校長からの了承も得ている。昼過ぎに帰ってこいと言うのは恐らく、午後のヒーロー基礎学とやらを一緒に遣るためだろう。
病院に入り、カウンターで高人さんの病室を教えてもらった。何故かカウンターの女性は高人の名前を出すと、悲しそうな顔をした。不思議に思ったが、何も聞かず、二人は教えてもらった病室の前に来た。
…何故、其処から進まないのか。
其れは、中から聞こえる泣き声のせいだった。
中から聞こえるのは、まだ幼さの残る聞き覚えのある声。
その声が聞こえてから、Aの足は急停止したのだ。
Aたちは、”万が一”の事を考えた。
流石のAも子供のあやし方を知っていても、両親を失くした少女に掛ける言葉など無い。まだ入っていない為、どのような状況になっているのか二人は知らないが何となく察しているようだった。
病室前で花を抱えた男二人が固まっているのも変だとAは意を決して扉を開けて足を一歩踏み出した。
希望を信じて。
奇跡を信じて。
しかし其れは、打ち砕かれる。
両親らしき人たちの顔には白い布が掛けられていて、布から少し覗く頬、手等がベッドに溶け混む程青白かった。
何より、両親だったものが横たわるベッドで両親の名前を呼び、泣き叫ぶ少女を見れば、一目瞭然だった。
二人は本当に掛ける言葉を失った。
Aの手から力なく花が落ちた。
ぐしゃという音に気付かない程少女は泣いていた。
あのクールで我儘な性格な子でも、泣くんだなとAはこんな時でも思った。
少女はこれからどうなるのだろうか。
「…A?」
「っ…う、あ…」
なんであの時、母親だけでも助けられなかったんだろう。
なんでもっと早く…。
Aはそれ以上何も考えなかった。何も考えたくなかった。
二人は、黙ったまま、静かに涙を流したまま、ドアの前で立ち尽くしていた。
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名無し - 少しよろしいでしょうか? 内容は少し違うのですがこの小説に 似ていたものがありまして、 勘違いかもしれないんですけど この作品がパクられているかも、 しれません (2019年8月17日 19時) (レス) id: 8bef809b57 (このIDを非表示/違反報告)
黒兎 - ありがとうございます!! (2018年3月3日 20時) (レス) id: 7d19fd6c34 (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - 更新楽しみにしてます! (2018年2月17日 16時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒兎 | 作成日時:2018年1月15日 0時