レンタル彼女。【う/ら/た/ぬ/き】 (ページ4)

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「あっ、うらたさん!」

ゲーセンの奥の方にある椅子に座り、俺を待ってくれていた様だった。

うらた「Aちゃんにあげたいものがあってさ」
「え～なんですか?」
うらた「はいっ!これ!」

そう言って、背中に隠して持ってきた猫の縫いぐるみをAちゃんに手渡した。

「これって……さっき、うらたさんが取ってたの、
だよね…?」
うらた「ええ!?見てたの!?」

「うん…少しだけ。
あんな一生懸命に、とろうとしてたからそんなにあげたい人でもいるのかなって思って」

うらた「Aちゃんがなんか目、キラキラさせてたから欲しいのかなって思ってさ」
「わ、私のためだったの!?」

うらた「他に誰がいんの…それに、他にあげたい人なんて生憎いませんよ」
「ふふっ、…嬉しい!ありがとう!うらたさん!」

大事そうにその猫の縫いぐるみを抱き締める、Aちゃんは、俺に、「一生大事にする!」とにこやかな笑顔を向けてくれた。

なんか、これ、本当にレンタルかよって感じだな。

うらた「あ、見て!あれやろう!
マリオカート!」
「うん!」

Aちゃんはマリオカートが初めてだったのか、ぶつかったり、逆走したりを繰り返した。
その度、先にゴールした俺が、ゴールまで促した。

それからは、コインゲームを回った。
対決だってしたし、他のユーザーの人とも闘った。
その次は女子がゲーセンに来たら、よく撮っている、プリクラとやらに入ってみた。

加工された俺の顔は、目がなんか大きくなっていて、それを見て、Aちゃんと笑い合った。

「うらたさんの目、大きすぎない?」
うらた「そういうAちゃんも人のこと言えない
からね!?」

「ははっ、また来たいですね!」
うらた「そうだね。また来よう!」
「うん!

ねぇ、うらたさん」

うらた「どうしたの!Aちゃん」

「どうして、私に、猫の縫いぐるみくれたり、優しくしてくれたり…すんるですか?
尽くさなきゃいけないのは、私なのに」

うらた「俺、一方的に尽くされるの好きじゃないんだ。
それにさ、俺ら、仮にも付き合ってるんだから恋人ってのは対等でいるべきじゃない?」

そう言って俺は、Aちゃんと頭を撫でた。

「……あ、りがとう…」

うらた「全然い～よ。
あ、そうだ。次、どこ行きたい?
俺、Aちゃんとなら何処でも行くけど…」

「じゃあ、あそこにしませんか?」

俺はAちゃんに手を引かれて、ゲーセンを出ると嬉しそうに走るAちゃんの後ろをついていった。

Aちゃんのことを少しだけ、知れた気がした。