3年間の恋愛ってやつ？棒に振ろうと思う【 花巻貴大 】

06. ページ6

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帰り道。

やっぱり奈緒は花巻と帰っていた。
偶然、目の前で手を繋いで、帰っていたのが目に入ってしまった。

一人、家路を探しながら、ふと思い出す。

「そう言えば、…シュークリーム、奢んなきゃいけないんだっけ」

花巻のことだから、冗談半分なんだろうけど。
家路を引き返し、この前駅の近くに出来たらしいシュークリーム屋に向かう。

……花巻、喜んでくれるかな。

駅近くまで来ると、新しく出来たであろう店が直ぐに目についた。
店内に入ると、クーラーが効いていて、さっきまで走っていたからとても涼しく感じた。

普段コンビニとカラオケ店でバイトしてる私はそれなりにお金はある。
3年間ずっと稼いできた。

両親には今からそんなにお金貯めてどうするの、なんて言われた始末。
いや、普段の両親ならそんなことは言わないのだが私は無駄にシフトを入れ過ぎているせい。

昨日銀行から下ろしてきたお金で、シュークリームを5個ほど。
いや、だって美味しそう。

私とお母さんと、お父さんの分。
残りの二つは花巻の分。

店員「ありがとうございましたー!」

丁寧に包装された袋を持って、店を出た。

家に帰って、お母さんとお父さんに二つシュークリームを渡した。
そしたらとても美味しいと言ってくれた。

「冷蔵庫に入ってる分人にあげるやつだから食べないでよー」

分かったよ、と笑顔で返してくる。
テーブルで仲良く楽しくシュークリームを食べている両親を見ると、なんかこっちまで笑みが零れる。

私は二階にあがってメッセージカードを
取り出した。
それは真っ白、無地のメッセージカード。
可愛さの一つすらないけれど。

三時間以上考え抜いた文。

それは

『昨日は、ありがとう』


とても短い文。

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