37.野良猫 :松川side ページ37
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“……もし、俺がお前のこと、好きって言ったら、
どうする?”
その言葉を発した瞬間、岸川の目は見開かれたと思ったら、少し泣きそうな顔を見せた。
松川「な、なんて…」
その顔を見て、直ぐさまその言葉を取り消そうとしたが、岸川の言葉に遮られた。
「どうもしないよ」
花巻が好きって、分かってるけど、それでも、伝えてしまいそうな俺がいる事を、恨みたくなった。
所詮俺は岸川にとって“優しい友達”。
恋愛対象になんて、なれない。
「もし、松川くんが友達から変わりたいって言っても私は変われない気がするからさ…」
その時、一匹の野良猫が現れた。
岸川はしゃがみ込むと、野良猫を撫でながら、
言葉を続けた。
「私さ、松川くんといると、いつも思うことが
あるんだよね」
俺は、黙ったまま、聞くことにした。
「……人間って、希薄だーって」
なんて言ってる岸川は野良猫を優しく撫でながら、少し俯き気味に続ける。
「いつも思うの。
なにかしら人間は欠けてるものがあるって。
顔が良くても、性格は良くないとか。
頭は悪くても、運動は出来たりとか。
若しくは、その逆だってある。
自分を含めて、人間ってなんなんだろう、って考えることだってある。
料理出来ない人も居れば、
器用な人、不器用な人がいる。
見てていつも思うの。
完璧な人間なんて存在しないって」
猫の毛並みを整える様に、撫でながら、淡々と、言葉を吐き出していく。
松川「どうゆう…」
「そのままだよ。
見てて思うんだよね。…人間は欲張りだなって。
私がその例。
ホントのこと言うと、松川くんのこと、好きだよ」
松川「えっ!?」
俯かせていた顔を、勢いよく上げた。
「…でも、恋とはなんか違う気がしたの。
友達としての好きなのか、
恋愛対象としての好きなのか。
最近、自分でも分からなくなって来ちゃってさ。
松川くんのこと、好きになりたかった。
そしたら、今頃幸せだったのかなって思って」
岸川にとって、俺はなんなのか。
それが分かっただけで、もう十分だ。
それに、そこまで考えてくれてたなんて、嬉し過ぎて、もうこれでいいって思えた。
松川「友達で、いてくれる?」
「……もちろんだよ」
きっと、岸川は分かっていたんだろう。
俺の気持ちを。
だからこそ、こう言って、友達であろうと
してくれてるんだ。
それを俺から壊すのは、最低だ。
これからも、“優しい友達”で。
「…松川くん」
ソイツの目は、俺を真っ直ぐに捉えた。
ザアァァ…と風が流れていく。
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茉莉朱(プロフ) - 一気読みしました！もう感動してめっちゃ泣いてます笑笑本当にありがとうございます(*- -)(*_ _)ﾍﾟｺﾘ (2020年3月10日 22時) (
レス) id: 97829c5418 (このIDを非表示/違反報告)
かん。 - 思わず一気読みしました！！そして今、泣いてしまっています…笑 久しぶりに泣ける作品に出会えました！ありがとうございます(^ ^) (2019年10月20日 23時) (レス) id: c004faa138 (このIDを非表示/違反報告)
COCOLO(プロフ) - え、いや、うん。大好きです(真顔) 一気読みしちゃいました笑笑 更新頑張ってください！ (2019年8月14日 3時) (レス) id: 7891f327e3 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - もう、ヤバイっすね。(←語彙力)この作品が好きです！！更新頑張ってくださいネ！！！応援しています (2019年7月31日 17時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
ruru(プロフ) - この作品めっちゃ好きです！ いつも更新楽しみにしてます。頑張ってください！ (2019年7月29日 17時) (レス) id: 3379e030f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チェスト
| 作成日時：2019年7月22日 2時
