35.神様の悪戯 :花巻side ページ35
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「何処行くの?」
冴島「んー、この映画観に行きたいんだけど…」
「…あ、…うん」
そう言った奈緒が岸川に画面を向ければ、岸川は少し顔を歪めて、俯き、相槌を打った。
それが少し気になって、画面を覗き込んでみれば、画面にはこう、映し出されていた。
"ひとりじゃないよ"……と。
"みんながいるから"と、ありきたりな言葉を取って付けた様な言葉達。
松川「どんな映画なの?」
冴島「家族の話。
バラバラだった家族が、一つになるっていう…」
松川「へぇ…」
花巻「何時から上映なの?」
冴島「確か…11時からだったと思う」
なんてことを話ながら俺たちは映画館へ
向かっていた。
その時も、岸川は黙ったままだった。
丁度、上映時間10分前に着き、それぞれ飲み物や、ポップコーンを買うと、店員に促されるまま、館内に入った。
岸川｜松川｜俺｜奈緒
の席順で座り、上映されるのを待った。
そして、他の映画の広告などが、終わると、その映画は始まった。
始まりは、孤独な少年が海に佇んでいるところ。
それは、夢で、家族は冷たくて。
何度も死のうとしている少年に、学校の者達は、死ぬなのその少年とっては辛い言葉を掛ける。
上映から、30分経った頃。
松川「どうかした?」
左隣に座っていた松川の声。
「ちょっと、気分、悪くて……」
少し、身体を前のめりにすると、顔色を悪くした、岸川の顔が見えた。
松川「一旦出るか?」
「…うん」
松川「じゃあ、俺、岸川についてくわ。
悪りぃな」
そう言って、後ろの席の人の迷惑にならないように、客席の間を低姿勢で保ったまま歩いていくと、館内から去って行った松川と岸川。
……ん?つまり、今、二人きり?
正確に言えば、"二人きり"ではないが、ある意味、"二人きり"では?
なんか、き、気まずい…
き、キス…したし、なんか、ちょっと、まあ、俺だけかもしれないけど…気まずい。
すると、右手が、握られた。
顔を上げて奈緒の方を見ると、少しだけ、岸川と重なって見えた。
冴島「……行かないで。
傍に居てよ」
その手は、震えていた。
この関係に罪悪感ばかりを募らせている俺は、やっと別れられる決心がついた筈なのに。
なのに…神様は意地悪だ。
また、こうやって、コイツを俺に近付ける。
そして、俺にまた罪悪感を募らせてくる。
本当に神様は意地悪だ。
俺は、その手を握り返すしかなかった。
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茉莉朱(プロフ) - 一気読みしました！もう感動してめっちゃ泣いてます笑笑本当にありがとうございます(*- -)(*_ _)ﾍﾟｺﾘ (2020年3月10日 22時) (
レス) id: 97829c5418 (このIDを非表示/違反報告)
かん。 - 思わず一気読みしました！！そして今、泣いてしまっています…笑 久しぶりに泣ける作品に出会えました！ありがとうございます(^ ^) (2019年10月20日 23時) (レス) id: c004faa138 (このIDを非表示/違反報告)
COCOLO(プロフ) - え、いや、うん。大好きです(真顔) 一気読みしちゃいました笑笑 更新頑張ってください！ (2019年8月14日 3時) (レス) id: 7891f327e3 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - もう、ヤバイっすね。(←語彙力)この作品が好きです！！更新頑張ってくださいネ！！！応援しています (2019年7月31日 17時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
ruru(プロフ) - この作品めっちゃ好きです！ いつも更新楽しみにしてます。頑張ってください！ (2019年7月29日 17時) (レス) id: 3379e030f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チェスト
| 作成日時：2019年7月22日 2時
