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ym

久しぶりの二人きりの帰り道。

緊張で足が震える。



「やまってさ…好きな人とかいんの?」


なにか鋭利なもので突き刺されたように

心臓からはドクドクと激しく
全身に血が送られ

喉は塊がつっかえたように
きゅっと苦しくなった


「………へ?…なん、で?」




「いや、何となくだよ。笑笑」

「い、ないよ?」



「……そっか。」



その間はもしかして

俺が裕翔くんのことを
好きだって言うのを期待してくれてたんでは、

とか。思ったりして。



まあ、俺みたいな特例が
そんなころころいるわけないか、
普通に女の子が好きだよな。

って思い直して自分で辛くなった。


「俺はいる。」



そういった裕翔くんの顔が
9月のからっとした冷たい風に吹かれて

とても寂しそうに見えた。


なんでそんな顔するの…?



「やまは、おとぎ話、好き?」



今日の裕翔くんは
俺に沢山質問をする。


まるで、
そうすることで
自分の知られたくない所を

俺が質問できなくするかのように。





「好き、だよ。」






裕翔くんが。








世界中で
俺にしか聞えないような
小さな声で


そっと愛の告白をした。



君が呑気に

「俺はねぇ、人魚姫、すき。」




なんて言うから。



俺も

だからさっき
人魚姫病…か。
なんて呟いてたのか。

って納得して。




きっとこの時
裕翔くんは気づいて欲しかったんだ。



やまならきっと分かる

俺が言いたいこと。言えないこと、
全部くみ取ってくれる。
受け入れてくれる
そのままの関係でいてくれる

愛してくれる




そう思って
たくさんのヒントを
散りばめたんだ。


俺にばっか質問して
俺が質問できなくしてるように見せかけて

裕翔くんはやっぱり
聞いて欲しかったんでしょ…?



「裕翔くんは俺のこと、好き?」







って。
鈍感な俺でごめんね。

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作者名:晴。 | 作成日時:2018年9月8日 19時

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