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山ちゃんの家のインターホンを押すと
どだどだどだっと言う凄まじい音と共に
山ちゃんが勢いよくドアを開けてきた
「うわっ!!!!けーと!おはよ!」
「おはよ。山ちゃん」
顔が真っ赤っかなのにそんな突進してきて…
肩からかけた毛布がずり落ちそうだから
かけ直してあげると
「ありがと、けーと。」
と言ってニコッとはにかんだ。
冷えピタを取りかえやすくするためなのか、
前髪をちょんまげにしてて、
ちっちゃいおでこにめいっぱい冷えピタを貼ってて
いつも可愛いのにさらに可愛くなっていた。
山ちゃん鑑賞に気を取られているといきなり
「あっ!」
と山ちゃんが短く叫んだ。
「どうしたの?」
「2階に…本、忘れた。」
「取ってきてあげるよ。どんなや『いいよ!俺が取ってくるから待ってて!』」
いつもならすんなり入れてくれるのに…
と少し寂しくなったけど
きっと彼なりの気遣いだろうと
深くは考えなかった。
しばらくして山ちゃんが戻ってきた。
「ごめん…ゼェゼェお待たせ…!!」
と言って分厚い本をドサッと置いてきた。
「奇病大百科…?」
「そ。はしごから落ちて元に戻せなくなったから借りたんだよね。笑笑だから読んでないんだァ。」
「そっか。…返しとくね!」
「うん!お願い!あ、けーと、帽子、似合ってるよ!!!!」
「うん!…ありがとう。」
少しだけなら、と
山ちゃんの頭をふわっと撫でた。
すると風邪のせいか、
人肌恋しかったのか、
山ちゃんが抱きついてきて、
俺の手を取って自分の頬に擦り寄せた
「けーとの手って、落ち着く。すごい、好き。」
自分の顔が熱くなるのは
きっと山ちゃんの体温が熱いから。
そう言い訳をして
本を抱えてその場を去った。
どうしようもなく切ない気持ちになったのは
きっと山ちゃんから
ゆーてぃーの匂いがしたから。
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作者名:晴。 | 作成日時:2018年9月8日 19時