モンスター ページ28
それから各々の成長譚に花を咲かせ、いよいよ背比べをしようとみんなが腰を上げたとき、私の携帯が着信音を奏でた。
画面には「お母さん」の文字が表示されている。
「あっ、お母さんからだ。ちょっと出るね」
彼らの輪から離れ、通話ボタンを押しつつ耳に当てた。
「もしもしー？」
「A？ お友達の家には無事に着いた？」
「うん！ 着いてるよ！」
近くのソファに腰を下ろして当てがう耳をスイッチさせた。
「よかった。お手紙は渡してくれたのよね？」
「あ゛」
私が濁った返答をすると、通話先の母からは返す言葉もないと盛大なため息が聞こえてきた。
「いい？ 電話が終わったらすぐに渡すのよ？」
「はーい」
「それから、ピザのことだけどあと五分ぐらいで着くそうよ。ちゃんと待ってるようにね」
これにも二つ返事で答える。
「ねえお母さん、今日は泊まってくるよ。みんな歓迎してくれてるから」
母は間の抜けた声で「そう」と呟いた。
「A、お母さんがあの時送ったメール覚えてる？ 男はみんなモンスターだって言ったよね。」
ああそういえば。
あながち間違ってないなって笑っちゃったっけ。
「ふふ、あれね、お父さんから教えて貰ったの。お母さんこれでもモテモテだったから、近寄ってくる男はみんなモンスターだって思え！って」
「へー、そうなの？」
「今思うとちょっぴり照れちゃうけどね。あの時お父さんがそうだったようにお母さんもAをその″おまじない″で守ってあげようと思ったんだけど……」
向こうから聞こえる街の喧騒が少しの間うるさく感じる。
「もう必要ないみたいだね。きっと彼がAを守ってくれる」
「えっえっ！？ か、彼って！？」
「うふふ、なんでもなーい。じゃね！」
問い詰める暇もなく画面は通話終了の文字を浮かび上がらせていた。
ま、まさか！
お母さんに好きな人がいるなんて明かしたこともないし、ましてみんなの話なんてほぼ皆無。
分かりっこない、はず……なんだけど。
ああ、でも帰国した時に一度、何かキラキラしてるね、とは言われたような気がする。
恋する乙女は輝いて見えると言うけれど、まさかそれが仇になったか……？
明日どう顔を合わせればいいのか、悩むところである。
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猫田七樹(プロフ) - コトブさん» いやあん、こちらこそ読んでくださる方がいると嬉しくてたまりません！w いつも少しずつで申し訳ないんですけども何卒よろしくお願いします…！！ (2020年4月10日 1時) (
レス) id: ab2594ca6b (このIDを非表示/違反報告)
コトブ - 最近、更新頻度高くて嬉しいです！更新される度に大喜びしてます笑 読みやすいし、読んでて楽しいです！いつもありがとうございます！(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2020年4月9日 14時) (レス) id: 18baf5e626 (このIDを非表示/違反報告)
猫田七樹(プロフ) - コトブさん» うわああん、いつもありがとうございます！！ 励みになります(´；ω；｀)！ (2020年4月1日 2時) (レス) id: ab2594ca6b (このIDを非表示/違反報告)
コトブ - 集合写真の絵、すごく上手ですね！分岐ルートも全部読みました！更新してくれて嬉しいです！ (2020年3月31日 16時) (レス) id: 18baf5e626 (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ - 「グリーンな恋心」…………… タイトル良いですね♪ 面白いです！これからも頑張って下さい！！ (2019年3月13日 18時) (レス) id: b4096def55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫田七樹 | 作成日時：2017年10月3日 21時
