感染3日目 生存者 ページ33
強力なバリケードに阻まれた先には多くの人間が殺到していた。
その人だかりの多くは報道陣のようだ。
大きなカメラを担いでいる人が見える。
何が面白くて来てるんだか……。
そんなに気になるなら中に入ってみればいいのに。
好奇心で他人の不幸を見世物にして……、自分は安全な場所で優越感に浸るんだろう。
ねぇ見て見て! 凄い事が起きてるよ、世の中にはなんて不幸な人がいるんだ、自分じゃなくてよかった。ってね。
……って私、何考えてるんだろ。
自分も今まではそうだったじゃん。
なのに自分の事は棚に上げて……。
はぁ、と短いため息をついた。
私がバカな事を考えている間に、隣の校舎の3階へと到着していた。
ふっ、ふっと短く息を切らしながらレオンさんは廊下の窓から向かいの校舎の様子を伺った。
そして、私もそっと窓に近づいてみた時だった。
「誰かいるんか?」
すぐ後ろの教室から小さめの声が聞こえた。
声色からして男の子のようだけど、少しかすれ気味で生命力は感じられなかった。
レオンさんが声の聞こえた教室の扉に近づくと、声の主は窓からひょっこり顔を出した。
まず目に入ったのは銀髪。
その次に端正な顔立ち、少し日に焼かれた健康的な肌。
しかし、その二つをもってしても彼の憔悴しきった表情はごまかせなかった。
レオンさんは人間だと判断すると間髪入れずに教室へ入り込もうとしたが、扉には鍵が掛かっておりガタッと震えただけだった。
「な、なんじゃ。助けてくれんのか?」
彼は少し焦ったように後ずさりした。
はっとして扉に駆け寄った。
「あなた、まだ感染してないの!?」
いきなり現れた私にびっくりして更に後ずさる彼。
「あ、ああ……。おまんら、俺を助けに来てくれたんじゃないんか?」
よかった、まだ感染してない人がいて……。
「大丈夫、私も今救助されてる所なの」
「そうか。なぁ、何か食い物持ってないか? 昨日から何も食べてないんじゃ。ここ開けるからよ」
彼の顔が安心したように緩んで、その後すぐにカチャッと鍵が開いた。
教室の中へ入るとレオンさんは再び鍵を閉め、扉を背もたれにあぐらをかいた。
私に目線を送り、彼と話をつけろとアイコンタクトで伝えてきた。
私は彼に向き直った。
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cherrymay(プロフ) - 続編、楽しみにしてます!頑張って下さい! (2016年10月30日 13時) (レス) id: 3524541590 (このIDを非表示/違反報告)
Tey - 4大好きです!こんなにも内容が深く面白いストーリーが読めるのは幸せです! (2016年10月27日 13時) (レス) id: 73fe050e5b (このIDを非表示/違反報告)
華恋 - 面白いですねw (2016年10月23日 11時) (レス) id: 97cefa2b38 (このIDを非表示/違反報告)
紫恩 - プチ英会話教室、、、、面白そう!!!← (2016年10月23日 11時) (レス) id: aaa53fac67 (このIDを非表示/違反報告)
神染紫凪 - 皆様、少し間を空けてしまいすみません(><) そろそろラストスパートです! 皆様も一緒に燃え尽きましょう!! ちなみに英語がちゃんと英語になってないのは悪しからず…。 雰囲気で感じてください( ´∵`) (2016年10月22日 22時) (レス) id: f63f5c3883 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:猫田七樹 | 作成日時:2015年2月3日 8時