クピードの弓矢 (ページ6)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:26,780 hit

6 -???- ページ6

「…俺は現実主義だ。」

家に入るなりそう呟く北斗。

その後ろに静かに立っているとこちらにくるりと身体を向ける。

バッチリと目が合う。なんか、気まず…

「クピードなんか、存在しない。」

「説得力なさすぎなんだけど。」

俺を見える人間なんて今まで会ったことがない。

でも、どうやら、北斗にはしっかり俺が見えているらしい。

「というか、クピードって呼ぶのやめて。俺、レプリカだから」

北斗を抜いてリビングのソファに座って弓矢をいじる。

「お前さぁ。ここ、俺の家なんだけど。」

「京本大我。」
「は？」
「俺の名前。」

北斗が呆れたように俺を見る。

「なんで日本名なんだよ。」
「俺の元の持ち主の名前。だから俺も京本大我。」
「意味分かんないけど面倒だからいいや。」

諦めが早くて助かる。

背中から生えた羽を整えて、弓矢で北斗を狙ってみせると、北斗はその矢を素早く奪った。

「あっ！」
「で、なんで俺についてきたのよ。」

言わないと折る、なんて矢の両端を掴む。

「…なんとなく。Aとどうなるか気になったから。」

「俺らの関係はレプリカなのに？」

口を紡ぐ俺に、それ以上問うこともなく、北斗は矢を返してきた。

「ここに居候するなよ。」

しっかり念を押された為、不本意だが北斗の家にとどまることはせず、毎日通うことにした。
面倒くさ……

ーーもし本物のキューピッドなら…。

「俺はレプリカ。」