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「では、その女性のことを振り向かせたい。ということで大丈夫ですか?」
「はい。」
男ーー松村北斗は問いかけに意思を込めてうなずいた。
目の前で行われる商売。
気になる女性に釣り合う人間になりたい。
松村北斗……長いから北斗でいいか。
北斗は真剣な顔をして事情の一部始終を話した。
「かしこまりました。お受け致します。」
Aはそう言ってパソコンのキーボードに手をおいてから、堪えられなくなった笑いを漏らした。
「別れさせ屋ってこんな感じなんだ。」
「…は?」
眉を顰めた北斗に対して、Aは何故か楽しそう。
「誰に雇われたの?奥さん?それとも本人?」
北斗のポーカーフェイスは崩れて、困惑と戸惑いの色が浮かぶ。
それをなおもAは楽しそうに見ている。
「無理に取り繕わないでよ。私は仕事前にそれなりに調べさせてもらってるの。IT企業に勤務なんて嘘でしょ?」
「別れさせ屋の松村北斗さん。」
Aがニコニコと笑うと、北斗は肩をすくめた。
「降参。」
「素直な良い子だね〜。」
「俺のほうが歳上なんだけど?」
頬杖をついて彼の顔を覗き込むAと足を組んで困ったように頭を掻く北斗。
「で?どうする?俺は失敗したわけでしょ。依頼主に文句の1つでも言いに行く?」
北斗のヤケクソといった様子にAはきょとんと首を傾げて「どうでもいい」と言い放った。
「ねえ。私いい事思いついたの。」
ここからがAの仕事の始まりだった。
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作者名:SoRA | 作成日時:2021年5月10日 20時