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「もしあなたが本物のキューピットなら……
その鉛の矢を私を打って。」
あの日、私は恋を忘れたはずだった。
「北斗は、私に近づくために、この作戦を使ったってこと?」
必死に頭を動かした。
驚きで頭は回らないけれど、嫌な気はしなかった。
「そういうこと。」
この人なら、受け入れてくれるのかな。
ゆっくりと絵画に目をやる。
クピードは微笑んでいるように思えた。
「B子さんの話をしましょう。」
B子さんには夢がありました。
大切な人と2人の子供を授かって、家庭を築くこと。
夢ではなくて、確かなものになると思っていました。
大切な人は優しくて、結婚だって考えていました。
そんなある日、B子さんはわかってしまったのです。
自分は、子どもを産めないのだと。
子どもを産める可能性はかなり低いのだと。
「その人は…、どうしたの?」
北斗が驚いたように声を絞り出した。
「彼氏に打ち明けられずに、別れを切り出した。」
北斗は、すべて納得したように「そっか」と呟いた。
慎太郎のこと、思い出しているのかもしれない。
君は、それでも、私を愛してくれる?
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作者名:SoRA | 作成日時:2021年5月10日 20時