クピードの弓矢 (ページ24)

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24 -Taiga- ページ24

「北斗…？」

北斗の家に少し遅れて入ると、俯いた状態の北斗。

「あのさ、北斗…。」

どう慰めればいいのか俺にはわからない。
Aの事情が重いからこそ安易に口を開けない。

Aは前に進めてないけれど、北斗のこと好きなのは目に見えていて…

口にできない言葉がもどかしい。
俺別に頭がいいわけじゃないし日本語って難しい。

「なあ、京本。聞いた？」

突然口を開いた北斗はなぜか明るい声音で、俺は耳を疑う。

「は、、え？何を？」

北斗は顔を上げる。
異常に笑顔。えっこわっ。

「A。あれ告白だよね？」
「は？頭大丈夫？」

明らかにお前振られただろ。

「あれだよ。もし出会い方が違えばって。」
「あぁ…まぁ…。」

確かに、そうかもしれない。
でもそれは"もしも"の話だ。

「俺、にやにや抑えるので必死だった。」

もう抑えきれていない顔を見て、頭が混乱する。
だって、北斗は騙されていたのだから、少しくらい怒っても。

「あっ、もしかして、俺が騙されてたと思ってる？
違うからね。俺が騙してた方。」

「は？」

「ま、見てろって。
Aのおかげですごい派手な演出になったけど。
もう終幕の時間だから。」