ハイドアンド・シーク【浦島坂田船】

朝 ページ4

プルルルル……プルルルル……




「んぁ？」









私は、煩く鳴り響く電話のコールによって起こされた。









誰だ………。









そう思い、タッチパネル式の携帯電話の画面を見るとそこに写し出されていた文字は、『さか子/優花』









あぁ、あいつか。





私は体をゆっくりと起こし、ベッドに座った状態で電話に出る。









ピッ







「……もしもし？どうした？」









いかにも眠そうな私の声とはうらはらに聞こえてきたのは元気で明るいさか子の声だった。







『おはよー！うら子さん！！』



いつもより、やけに元気なさか子。









私はベッドの側の壁にかけてある壁掛け式のカレンダーの今日の日付を見て、さか子がこんなにはしゃいでる理由がわかったような気がした。









「今日、ライブだからって朝からそんなはしゃがなくても…」









『えー！！だって！』









そう。私達は『うりゃしましゃかたせん』というバンドを組んでいる。






売れないけど、大学に通いながらこつこつ活動している。








そして、今日なんと初ライブがある。





ライブって言っても小さな所で歌ったり踊ったりだが。









どうやらさか子はそれが凄く楽しみらしい。









私は、少し…






内心めんどくさいなぁ、と思いながらもさか子の言葉に返事を返した。








「……もう、わかったから。」









するとさか子は『じゃあ！！駅前に11時！』といい慌ただしく電話を切った。









時計を見ると、丁度針は10時を差していた。









…ん？




待って？









「後一時間しかねぇじゃん！！！！」

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