Juri side ページ8
今まで、誰も相手にした事が無かった。
学校とか、街なんかで絡んでくる女になんか
元々そんなに興味なくて。
暇が潰せればそれで良かった。
女とかの認識以前の問題で、人形というか
ずっと甘ったるい声を上げる、
置物のようにしか思えなかった。
「お前さ…本当にいつか殺されるよ？」
「俺が？なんで？」
「いや樹お前さ…アイツらの顔とか名前、覚えてる？」
「いや。覚えてないけど。」
「あーあ。本当に殺されても文句言えないぜ？」
いつも一緒に居る相棒のような存在の北斗に、
そう言われた事がある。
「そんな事言われてもなー……」
「お前を変えてくれる人がこの世にいるのかねえ…」
「んだよお前ジジくせぇな」
俺も北斗も、学校もまともに行ってない。
大人の言うことなんて一切信じてない。
正直、社会からしたらただの邪魔な出来損ない。
それでも人が寄ってくるのは、
少しばかり顔が良くて、少しばかり親がビックだから。
「なあ北斗…なんか面白いことない？」
「あったらとっくに言ってるよ。」
「だよなあ……」
そう言ってた時。
ふわりとハンカチが落ちてきた。
それは、黄色い、綺麗なハンカチだった。
「あ…」
落とし主の女性は気づいてないのか、
前へ前へと進んでいく。
「……北斗、お前ちょっと待ってて」
「は？って……おい、樹！！」
気づいたら、女性に追いつくために走り出していた。
やっと、やっと見つけた。
もっと知りたいと思える、そんな人。
もうその場の勢いで、連絡先を交換してもらった。
櫛木さん。櫛木、Aさん。
俺より何個も上で、
何回もの出会いを繰り返してきたであろう女性。
「絶対、振り向かせてみせる。」
「…あ、北斗。」
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作者名：藍知 | 作者ホームページ：https://twitter.com/9K___ST___Hi___?s=09
作成日時：2021年1月3日 2時
