愛しい君よ、さようなら。【原石青】 (ページ6)

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『ただいまー……』

誰もいない部屋に声をかけた。

適当に部屋着に着替え、髪を解き、メガネをかける。

冷蔵庫からチューハイをとりだしてソファに座る。

『なーんか…イレギュラー起こりすぎじゃない……？』

知らない高校生と連絡先交換したり……

照と話したり……

人生まさかの連続とは言うけども……

『ああ…そう言えば……』

既読をつけたまま放置していた田中くんのLINE。

一言位は返さないとなあ…

ていうか得体の知れない女とLINE交換するって…

結構度胸あるなああの子。

Aわざわざ連絡ありがとう。

A櫛木です。下の名前であんまり呼んで欲しくないんだけど。

A高校生なんだから、暇なわけないでしょう?

Aまた縁があったら、その時はよろしくね。

と一通り送って、トークを消そうとした時。

『え、もう既読ついてる……はっやいなぁ…』

ジュリ暇です。つか暇にします。

ジュリだから、また会いませんか?

……はあ？

チューハイを一気に煽った。

本当になんでこの子は私なんか相手にするのだろう？？

なんだか申し訳なくもある。

とは言え、だ。

私はもうアラサー。

なのに高校生の田中くんを連れていれば…

世間からどう見られるかも分からない。

『ここは誤魔化しておこうかな…』

Aまた、ね。考えておくわ。

ジュリまた、誘いますから。

『……懲りない子だなあ』

チューハイの最後のひと口を流し込んだ。