[アンデル]Fake or Phantom？[ぷよクエ] (ページ3)

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第二話ページ3

「そのピアスは、貴女に特別な力を貸してくれます。
だから決して、失くさない様にね。」
『ねえ、普通ピアスは二つでワンペアでしょ？
もう一つは無いの？』
そう訊くと、彼女はその表情を崩さぬままこう答えた。
「申し訳無いけれど、二つは無いわ。
それに、一つでも力はとても強いのよ。」
『さっきから力、力って。一体何なのよ。』
「うふふ。では実演してみましょうね。
ポポイ、Aさんのお相手をしてあげて。」
「任せるニャ！」
途端に彼女に抱かれていた猫の縫いぐるみが話し出す。
そうかと思えば、その腕からぴょこんと飛び降りて私の前に立った。
一体どんな仕組みなのかしら。

「初めてみたいニャから軽ーくいくニャ！
それ、ウィップニャ！」
バシン！
尻尾を伸ばし、鞭の様に撓らせながら私にぶつけてきた。
何とかガードするも、ガードした両腕には轍の様な跡が。
どこが軽くよ。結構痛いじゃない。
「魔力は充分に溜まっている筈です。
頭に浮かんだ呪文を唱えて、ポポイに向かって動いてみて。
呪文の通りに体が動く筈よ。」
確かに、私の頭の中には単語の様なものが浮かび上がっている。
やってみても、良いわよね。
『……ナックルチェスト！』
紫色の光を帯びた右の拳を、縫いぐるみことポポイに向かって振り下ろす。
バシッ、ぽてん。
「ブニャッ！
流石、ピアスの魔力は強いニャー。」
『何でわざわざこんな事をさせたのよ。
私は縫いぐるみを痛め付ける趣味なんか無いわよ？』
「ポポイは特別だから良いのよ。
それより、自分の持つ力を確認出来たみたいですね。
そのピアスは貴女の秘められた魔力を覚醒させて、底上げしてくれるわ。」
ぴょこぴょこと彼女の腕に戻ったポポイを見届けながら、
彼女のその言葉を聞く。
『元の世界に戻る時には、その魔力とやらは私からは無くなるの？』
「ふふ。それは、どうでしょうね。」
彼女は含み笑いを浮かべながらそう返した。

生徒達と合流する為にと言って、彼女はこの場を立ち去っていった。
私もそろそろ、ここから動かなくてはね。
また途方も無く歩いていると、さっきまで海辺だった所から
街へと様相を変えていた事に気付く。
かと思えば、急に空が曇り出して雪が降り始めた。
まるで季節など無い様に、滅茶苦茶な気候。
何も知らない所で体でも壊したらどうしようも無いわ。
取り敢えず、どこかお店でも探して暖を取らないと。
それにしても本当に賑わっているのね。
その中に、一人の可愛らしい女の子の姿を見掛けた。