お題:かきくけこ 5-1 ページ8
1.神様なんていない
産まれたのは、貧しい村だった。
貧しいけれど、不幸では無かった。
大人達は口を揃えてこうゆう
「神様が見てるから」
けれど、知っている。
神様なんて居ないと。
だって、何度も何を祈っても腹は減るし、
薬が買えない奴等は動けなくなって居なくなってゆく。
──…神様が居たら、きっと助けてくれる筈なのに。
***
「──…そう、それは大変だったね」
村に鬼が出た。
幾人かの村人達と月の無い山の中を逃げて辿り着いたのは、万世極楽教という寺院だった。
通された広間で、歳の近そうな少年が悲しげな顔でそう呟いた。
(綺麗な子)
村人達みたいなボロを身に纏って汚れやせ細った身体とも違う。
着物も身なりも綺麗で、何より少年の瞳がまるで虹を閉じ込めたみたい極彩色。
──…神様みたいだ。
神様なんて居ない、けど、神様が居たらこの子みたいなのかと思わずには居られなかった。
お題:かきくけこ 5-2(前)→←お題:恋の台詞 5-5/童磨
16人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきの(snow-no) | 作者ホームページ:http://id24.fm-p.jp/277/snownobox/
作成日時:2020年2月23日 1時