【鬼滅の刃】短編詰め童磨(教祖) (ページ5)

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お題:恋の台詞5-3 (後)／童磨ページ5

「──…お前、暫く此処から動くな」
一瞬腰に回された強い力に目を開ければ、庄屋の軒下に立たされ目の前には猗窩座様を取り囲む様に複数の鬼。

その内の1匹が猗窩座様に飛び掛かろうとした途端、周囲に冷気が満ち取り囲む鬼達が砕け散った。

ただただ目の前で目まぐるしく起きる事がまるで夢か幻でも見ている様で、呆然としていれば砕け散った氷を踏みしめて現れたたのは見覚えのある青年だった。

「猗窩座殿、──…と如何して？」
此方へ気付いた青年の目から温度が感じられない。

この青年が人在らざるモノである事は知っているし、この状況下にいる猗窩座様も同様なのだろう。然し、何故青年が怒っているのか見当がつかない。

(──…怒っている？)

自身の言葉に思わず疑問が浮かぶ。
この青年が怒る筈が無いと、自身が頭のどこかで異を唱えているからだ。

何を言って良いのかと、口を開けないまま立ち尽くしせば2人の青年は何か囁き合い猗窩座様背を向けると足早に立ち去っていた。

「…全く、鳴女ちゃん仕事が雑…」
傍に来た青年はそんな独り言と共に、手を伸ばしするりと頬を撫でてゆく。

「俺の匂いが付いてたせいかもね」
何を言われているか、解らずそれでも一緒に帰って良いらしい青年の言葉に詰めていた息を、細く吐き出す。

「童磨様…」
「でも、仕方ないとはいえ猗窩座殿に触れられたのは──…ねぇ？」
何時もの笑みを浮かべているが、その目は笑って居なくて
背に付いた壁との間で向かい合う青年を見上げる事しか出来ない。

「俺を妬かせて楽しい？」
「──…っっ」
耳元で引く問われた声音にぞくりと肌が粟立つ。目の前に迫る端正な顔と、極彩色の瞳に浮かぶ上弦の文字。

(妬かせた？──…妬いた？)
青年の言葉に反駁する。
今、この青年は嫉妬している？

真逆と思う気持ちと、そうであって欲しい気持ちが綯い交ぜで何を言えば良いのか解らない。

──…けれど、

「童磨様が妬いてくれたのなら、本望です」
そう苦笑気味に笑えば、悪い子にはお仕置が必要だねと唇が塞がれた。

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