【鬼滅の刃】短編詰め童磨(教祖) (ページ3)

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お題:恋の台詞 5-2(後)／童磨ページ3

「見ちゃった？──…おや、その割には」

此方の視線を追うように1度背後へ向けた視線が再び此方へ向かうと、その声音は何処か面白そうに弾み、へたりこんだままだった自身へと目線を合わす様に腰を屈めた。

「そんな顔出来るんだねぇ」
伸びてきた大きな手。
自分がどんな顔をしているのか解らない。
けれど触れられる事に馴染んだその手が何時もの様に頬を掬う様に撫で、その手と共にべっとりと濡れた感触頬へ付、濃い錆びた匂いが鼻をつく。

「──…もしかして気付いてた？俺が鬼だって」

光の中で影を落としつつ此方を覗き込む虹色の瞳がこの場に似合わぬ程優しい色で、ぞくりと肌が粟立つ。

悲鳴と倒れた家族と、噎せ返る程の血の匂い。
月光に煌めいた金色の扇。

記憶の奥底に閉じ込めたソレは、今目の前にあるソレと同じ。

なのに、

それでも……

「…知ってたよ。ごめん」

──…皆…

そう掠れた声で返せば、目の前の美しい青年はまるで蓮の花が開くかの様に淡く優しい笑顔を浮かべると、赤く染った手を差し出した。

お題bot【milk】
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