お題:かきくけこ5-5(前) ページ14
5.こっちにおいで
昔、村か鬼に襲われたと駆け込んで来た一団が在った。
同じ歳の子供と出逢う事の無い生活の中、その一団に居た子に少しだけ興味があった。
──…子供の感情というのもを知りたかった。
俺が上手く人で在れる様に。
怪我人を療養する間滞在する事になった彼等。その間の話し相手にとその子との時間を作っていたが。
けれど、あの子もまた子供らしからぬモノだったらしい。
貧困な村の子供は、どうやら子供らしいと生きてゆくには色々不都合しかないらしい。
それでも、俺の知らない世界を話すあの子は輝いて見えた。
***
人ならざるものとなり、遊郭に足を向ける様になったのはより栄養価の高い餌を取りやすかったから。
この街は鬼の存在を知りつつも、寝静まる事が無いのも利点の一つだ。
そんな街中で美味しい香りが鼻腔を掠めた。
その香りへ向かう途中再会したのは、あの子だった。
「真逆、稀血だったなんて」
あの子から声を掛けられその場で食べる事も頭を過った。
けれど、この子が欲しいとも思った。
餌として、玩具として。
世間話でお茶を濁して、俺のモノって印だけは付けておく。小さな氷の結晶を髪を撫でる序に絡めておけば俺より上の鬼に取られるのは癪だが、此処は俺の餌場と認知されているから早々手は出されないだろう。
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作者名:ゆきの(snow-no) | 作者ホームページ:http://id24.fm-p.jp/277/snownobox/
作成日時:2020年2月23日 1時