ブレイクタイム。【雪】

人見知り×電車×橙 ページ7

Koji side.






7時17分。


通勤ラッシュを少し外した、朝の時間。


7車両目のドアの横。


いつも静かに本を読んでいる女の子がいる。






メガネかけてて、ちょっと知的な感じ？


雰囲気も品があってな、なんか気になってしまうねん。


とっても可愛らしいと思うんやけど、ふっかさんに話したらバッサリ『俺はタイプじゃない』とか言うんよ。


めちゃめちゃ失礼やろ？





俺はいつも通路を挟んだ彼女の向かいの席に座って彼女を見つめる。


次の駅ですぐに降りてしまうから、ほんの少しの時間しか見られへんねんけどな。









『いつも何読んでるんですか？』



『今、おいくつですか？』



『お名前聞いてもいいですか？』









知りたいことを頭に浮かべてみたんやけど、全部ストーカーっぽく聞こえてしまう。


こんなこと考えてる俺、キモない？


あーあ。俺もめめやしょっぴーみたいな男前やったらガンガン行けたんかなぁ。








いやいや、俺も男前やで？


なぁそう思うやろ？


なんて。








そうこうしているうちに、彼女は駅を降りていってしまった。







今日も話しかけられへんかった。








ちょっとしょんぼりとした気持ちを抱えてスタジオに向かう。









すぐにふっかさんのところに向かうと、朝から来んなって言われる。


言葉ではそう言いながらも全然俺から離れようとしないから、嫌じゃないんやと思っとる。







康「ふっかさぁん、」




辰「なんだよ。」




康「また話しかけられんかった、」




辰「あー、あの子？」




康「うん。」








一度だけ首を縦に振るとふっかさんは康二ビビリだもんな、なんてケラケラと笑う。








康「いきなり話し掛けてキモないかなって心配になるやん。」




辰「それに俺ら、ジャニーズだしな。」




康「そう、そこやねん。」









俺らにとっての最大の武器であり、最大の壁。


この壁は、いつでも俺らの恋路の邪魔をする。





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