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2回目の武者修行にも慣れてきて、いつも通り今日の準備を始める。
ダンスの確認をしていると、控室から、瑠唯さんに呼ばれた
「A、ちょっと来てー」
控室に入るとそこには、脱力して椅子に座っている壱馬さんが。
『どうしたんですか』
「結構前から風邪拗らせて放置していたみたいで、休んでもいいって言ったんだけど聞かなくて。今スタッフさんがHIROさんと連絡とってる。」
『その状態で歌うんですか?』
「頼む・・・」
『そうなんですね。とりあえず、歌うって決めたなら歌える状態にしといてくださいよ。できるだけサポートします。』
「分かった。迷惑・・・ごめん。」
『謝るのはまだ早いんで、とりあえず、今日を乗り切ることだけ考えましょう』
壱馬さんは出番直前までおとなしく安静にしてた。
もしステージで何かあったら、すぐに下がることに決まった。
壱馬さんのことだから、なにがあってもステージは降りなさそうだけど。
パフォーマンスの中盤を終えて一回コメントを挟むとき、今日の担当は慎。
と、隣にいた壱馬さんが僕のほうに寄りかかってきた。
ファンの人たちは悲鳴をあげていたけど、それどころじゃない。
薬の効果が切れたのか、体から伝わってくる熱さ。
すぐに裏に運んで、あとはスタッフさんに任せた。
慎「壱馬さん、ちょっと風邪っぽくて、無理してたみたいです。じゃあ、こっからはA一人で歌うことになるけど、大丈夫?」
こうなることも予想はしてたから、あわてることはなかった。
『まあ、頑張りますよ』
壱馬さんのパートもファンの皆さんに助けてもらいながら歌って、いつも以上に煽って盛り上げた
いつもは壱馬さんに引っ張られてばっかだったけど、自分一人でもステージを動かせるって自信になった。
「よかったじゃん。」
裏から見てたらしい壱馬さん。褒められたのか?それとも、一人でこんなことしたから怒っているのか。
「はぁ。素直に受け取れよ。褒めてるんだよ。」
『・・・あざす。そういや、風邪は大丈夫ですか?』
「いや、大事を取れって言われた。最低3日は安静にだって」
そう言ってる壱馬さんは本当に悔しそうだった。
「だから、明日から任せた。ファン減ったら許さないから」
『いつも通り頑張りますよ』
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作者名:くろ | 作成日時:2019年10月24日 23時