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結果は良いものばかりじゃない【神無月紅霊】ページ18

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俺が悴の家に引き取られて1日。
おじさんとおばさんが連れてきたのは、1人の女の子だった。

「…白慧、蘭。」

女の子はそれだけ言うと、またおじさんとおばさんの後ろに隠れてしまった。
綺羅は丁寧に「よろしくお願い致します。」と言っていたが、俺はどうもその気にはなれなかった。

悴の家は大きな旅館を経営していて、金持ちだった。
住んでいる家も、和風で大きかったし、出てくる飯も豪華だった。

何も不自由はないはずだった。

「…紅霊、嫌い。」

それはある日、おじさんとおばさんが出かけてしまい、俺達子供だけで夕飯を食ってる時。
蘭が不意に俺にそう言った。

別に悲しくもなんともなかったけど、とりあえず理由は知りたかったので「なんで？」と聞いた。

「だって紅霊パパとママ奪った！パパもママも紅霊達の面倒ばっかり見る！嫌い！」

俺は別になんとも思わなかった。
コイツに嫌われようが何だろうが俺の人生が狂うこともないし、どうだっていい。

俺の頭に浮かんだのはそんな冷たい考えであって。

「…ガキだな。」

自分より年下のソイツに、そう言った。
途端に蘭は目に涙を溜めて、部屋を出て行った。

飯の準備から戻ってきた綺羅と悴は驚いたように見、俺に事情を聞いてきたが

「知らねーよ」

この一点張りだった。

＊

ある日。

蘭が帰ってこないと連絡があった。
遊んでいた俺だったが、行く必要はないかな、と考えてフラフラしていた。
すると

「助け…て…っ」

掠れた声が川から聞こえたような気がして、俺はそちらを見た。
そこには、溺れている蘭がいた。

急いで助けて理由を聞けば、溺れた猫を助けようと川に飛び込んだら、足が着かなく一緒におぼれたらしい。猫は自分で泳いで陸に上がったとか。

「薄情な猫だな、ったく。」

俺はそう言うと蘭をおぶって家まで帰った。
蘭は小さな声で「この恩は絶対返すから」と言っていた。

＊

「紅霊、誕生日おめでとう！プレゼントは、ワ・タ・シ♡」

「欲しいっつった覚えはねーよ」

その恩返しなのか自分を貰ってくれとせがむ蘭。
俺の知っている恩返しとは何かが違う。絶対違う！

助けなきゃ良かったんじゃね？

良いことをした結果は良いことばかりじゃねぇ、とその時ばかりは学んだ。