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兄様マジック【砕月兄妹】ページ15

「兄様～！！」

家の廊下をパタパタと走る足音と共に、自分の名前を叫んでいる声が聞こえた。

寝室にいるにも関わらず、部屋の中まで声が聞こえるなんて、どれ程叫んでいるんだろうと思ったが
扉を開けて顔を出すと希姫が何かの布を持ったままこちらに走ってくるのが見えた。

「希姫、どうしたんだい？」

「お洋服を作ってみました！」

僕がそう問いかけたら、希姫はニコニコと嬉しそうに報告してくれた。
ぎゅっと淡桜色のワンピースを握りしめていた。

「見せてくれる？」

どうぞ！っと元気よく服を渡され受け取って広げてみる。

うーん...。

広げてみて、1つ疑問が浮かんだ。

「ねぇ、希姫。
このワンピースは誰が着るのかな？」

そう、希姫が着る気しては少し...いや、だいぶ小さい気がする。

希姫はその問いかけにハッとした様な顔をした。

「か、考えていませんでした...！」

うん、だろうね。

全く、前にもこんな事があったような気がする...。

「希姫。作るなら使える物を作らないとダメだよ？ほんとにおバカだね。」

ため息混じりにそう言うと、希姫はがくりと肩を落としてしょぼーんの効果音がぴったりな程に落ち込んでしまった。

「......。」

はぁ、全くもう...。

「ちょっと待ってて、すぐに戻るから。」

そう言って足早に被服部屋へ向かい、淡水色の布を片手にミシンと向かい合った。

＿＿＿＿＿＿＿

【数分後】

「希姫。出来たよ。」

そう言って、希姫のワンピースを広げた。

淡桃色の裾の下から、淡水色の裾がひろがる。

「わぁぁ！！兄様凄いです！
兄様マジックです！！！」

目をキラキラさせながらそのワンピースにぎゅっと抱きつく希姫を見て、自然と頬が緩んだ。

「大切にしますね！」

そう言ってにっこりと笑う。

やっぱり僕は妹に甘いのかなぁ。

なんて思った、とあるお昼の出来事。

-----------ｷﾘﾄﾘｾﾝ----------

ほっこり系を目指してみました！