GAME38 HER PRETENDER ページ40
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「はぁ…はぁ…」
乱れた息が上がる。
体力が無いなりに意識を失ったアンヤを背負い、出来る限り急いで目的地を目指す。
(シノンさん…血、止まってないですよね…)
普段の行動から見て、体力が無いと言われつつ自分よりは体力があるはずのシノンがあそこであれだけ息が切れていた。
それもきっとあの怪我のせいだろう。
瓦礫に当たってたり、壁に衝突していたりで十分重症なのだ。
今すぐにでも治療をした方がいい。
(でも……)
思い出すのは残ると言った時の切羽詰まったシノンの姿だった。
(俺らが動けないからですよね…)
自分ではあの大きい植物を相手に出来ない。アンヤやシノンみたいに武器を持っている訳でもない。
寧ろ怪我をしてしまった。
(早く助けを呼ばないと…)
アンヤを担ぎ直し、進んでいくと目的地に辿り着く。そして頑丈そうな扉を開ける。
「遅れ…ました…」
「おお来たかあっきー………何かあったのかい?」
倒れ込むようにして食糧庫に入る。その様子を見て只事ではないと悟ったユズが問いかける。
「シノンさんが…俺らをミミクリー・マンイーターから逃がすために、囮になって…それで…」
「場所はどこでぇ?」
「確か、3階の階段の近くです」
「そうかい」
そう言うとカイコクは足早に扉へ向かう
「あの…シノンさんとは何時くらいに別れたんですか…?」
おずおずとヒミコが入出に不安げに尋ねる。
そしてその言葉にカイコクの足はぴたりと止まる。
「えっと…」
1階に辿り着いた時にチラッと窓を見た。
その時はもう外が真っ暗だったのを思い出す。
「日没前…です…」
緊急性が増した。
場の空気が凍ると共にカイコクは扉を開けると走ってその場を去っていった。
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作者名:雪雅 | 作成日時:2020年12月29日 14時