GAME36 HER PRETENDER ページ38
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顔があった場所がパックリと開き、更屋敷さんの姿を残しながらも入出に食らいつく
「い、痛い!痛い痛い!!俺は美味しくないです!!」
人食いなんだから仕方ないだろ
そのまま鉄パイプで殴っても効かなさそうだから、更屋敷さんの原型が残っている足元に向かいバットを振るように横からぶん殴る。
「この野郎!!」
そしてバランスが崩れた所を駆堂が口の部分に向かい鉄パイプを突き刺す。
甲高い悲鳴を上げて倒れる植物を横目に、駆堂は入出を引っ張り走り出す
「なにしてんだテメーは!!」
『入出まで怪我してバカなわけ!?』
「すみません…!」
ダクダクと入出のこめかみから血が流れる
傷の深さはわからないけど、早く地下に辿り着かないと行けないのは確かだ。
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「階段です!」
階段…なら地下まですぐか…
肩で何度も息をし、鉛でも付けたのかというか位重たい身体にぼんやりする視界。
オマケに頭までぐらぐらすると来たもんだ。
長くは持たないな…
「アンヤくん?」
入出の声で後ろを振り向けば駆堂がしゃがみこんでいた。
血の気の引いた顔。明らかにおかしい言動
やっぱりこれは…
「大丈夫ですか?やっぱり具合が悪いんじゃ…」
「………い…から先…に」
声を絞り出してそう言うと駆堂は力なく床に倒れ込んだ
理由はわかっていても血の気が引いていくのがわかった
「アンヤ君、アンヤ君!!」
『くど……
───っ!!』
耳に入ったツタが近づいてくる音
銃を取り出して引き金を引けば物の見事に植物に命中した
『入出は駆堂連れて早く逃げて!!』
「でもシノンさんが!」
『足でまといは早く逃げろって言ってんの!!』
「シノンさんだって出血が!!」
それを言われて一瞬表情に出た気がした
でも、そんなこと言ってられない
『今一番やばいのは駆堂を狙われること!!』
そう、今一番狙われて不味いのは意識が無い駆堂だ。
『連れて行けるのはアンタしか居ないって言ってんの!!すぐ向かうから早く行って!!』
「……約束、ですからね」
気迫に押されたからか入出はそう言うと駆堂を背負い階段へと向かって行った
『ははっ……』
植物がいる方を向けば点々と伝っていた赤い何か
長く持たないんじゃない、持たせないといけないんだよ
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作者名:雪雅 | 作成日時:2020年12月29日 14時