GAME34 HER PRETENDER ページ36
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廊下に出ればもうそこは至る所がツタで張り巡らされていた。
繁殖スピードがおかしすぎる…
「うお…繁殖スピードがおかしいぞ」
「…隙間を突破するしかないか」
「無理!無理無理絶対無理!!」
そう言う更屋敷さんの足元にはカサカサとツタが近づいている
「にょろにょろ!にょろろろろ!!」
『更屋敷…さん…?』
その怯える更屋敷さんは一種の狂気と言えるが今に始まったことでは無い
「落ち着けカリリン。シノノンが引いている。それにだいたいここはツタに巻かれて危ない展開になるのがお約束だろ…?空気を読みたまえ」
「読むか!誰が読むかあ!!」
「よし突破だ」
火事場の馬鹿力と路々さんの煽り効果のお陰で、豪快に素手でツタを引き裂き道が作られていく
「みなさんこっちです!」
少し進んだ先で入出が手を振っているのが目に入る
「どこ行くんでぇ」
「食糧庫です。あそこなら壁も扉も頑丈だし施錠もできます」
「…籠城戦か」
施錠出来るなら一応は安心出来るか
だけど何でここだけ暗くなって…
「いいぞあっきーそこで作戦とシノノンの怪我の手当てを…
『危ない!!』
──うお!?」
路々さんの頭上にミミクリーマンイーターが落ちてきたから自分の位置と代わるように突き飛ばしてしまったけどこれは…
「おいバカ!!」
「シノンさん傷が…」
『大丈夫だから…それより路々さんのほう…』
勢いがよかったからか物の見事に壁に衝突したけど、傷が悪化した気がする
それに路々さんの方に怪我があった場合の方が大変だ
「ユ…ユズせんぱーい!!シノンさんが瀕死です!!」
『瀕死じゃないし!ピンピンしてる!』
「おいバカ下がれ!!」
誰が瀕死だ
こめかみから流れ続ける血を拭うがいつまで経っても止まる気がしないからするだけ無駄だろう
それと、まだこんだけ声が出るんだから大丈夫でしょ
「あっきー!アン坊!シノノンを連れてそっちから迂回しろ!食糧庫は地下一階だ。必ず合流するんだぞ!」
僕もまだ動けるよ路々さん
「シノノンは自分が思ってる以上にヤバいっていうことを自覚した方がいい!絶対無茶しないこと!」
「お二人さんシノンちゃんは死に急ぐような奴だから死なねェよう注意してくれ!オマケに体力もねェ!」
二人は僕のことを何だと思ってるんだ
僕は死に急いでもないしやばくもない
「わかりました!」
何でそこ元気よく返事するわけ…
そして僕は引っ張られるようにしてその場を走り出した
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作者名:雪雅 | 作成日時:2020年12月29日 14時