GAME29 BRING IT ON ページ31
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階段の所まで行くと鬼ヶ崎と忍霧に遭遇した
二人はぎょっとした表情を浮かべながらもそのまま走り去ろうとしてたので慌てて鬼ヶ崎の手を掴む
『こっち』
「シノンちゃん、今は…」
『逃げる宛ても無いのによくそんな事言えるね。捕まりたいわけ?』
”そんな暇ない”
そう言おうとしたのを遮って自分の意見を述べた所で図星だったからか鬼ヶ崎の力が弱まったタイミングで僕は鬼ヶ崎のことを引っ張るとそのまま自分の部屋の中まで押し込んだ
忍霧もその様子を見て察したのか渋々だけど僕の部屋に入ってくれた
『僕が戻ってくるまで絶対、部屋の外に出ないで』
「…策はあるのか?」
不安に思ったのか忍霧がそう訪ねてくる
『無かったらこんなことしないよ。まぁ、無くてもこうするけど…』
最後の言葉は小さく言った
出来ればこの言葉は聞かれたくないけど、言っちゃったものは仕方がない
『とにかく、僕が戻ってくるまで部屋から出ないでよね』
二度強く言ったんだから流石に部屋からは出ないでしょ
仮に出て見つかってもそれは僕の責任じゃないし…
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鬼ヶ崎side
シノンちゃんの部屋に隠れて暫く経つ
何時までもドア付近に立ってる訳には行かないので興味本位でシノンちゃんの部屋を眺めながら考える
この様子だと上手く言ったか?
「……意外だな」
黙っていた忍霧が口を開く
意外…ね…
「それはシノンちゃんのことかい?」
「ああ、羽上のことだからそのまま見捨てると思っていた」
シノンちゃん、完全に自己紹介のことで悪く思われてるねぇ
まぁ本人はそれを見越して言ってそうな面はあるけどな
「シノンちゃん自身ああは言ってるけど、根が優しいからねぇ」
思い出すのは一回目のゲームの時のこと
幾ら俺がシノンちゃんの事を助けたからってあの行動が二回も出来るのは優しい子だからこそ出来る行動だ
俺は床に転がっているケースに目を向ける。
「あっ、おい鬼ヶ崎!」
「流石に恩を仇で返すような真似はしないでぇ」
それにシノンちゃんのことだから開けたとわかればいい顔はしなさそうだしな
まぁ、中身は気になるが
ケースから改めてシノンちゃんの部屋を見渡してみる
やっぱりあの子は……
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作者名:雪雅 | 作成日時:2020年12月29日 14時