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🖤side
手術室の前で皆静かに夏樹の手術が終わるのを今か今かと待つ。
医療ドラマや刑事ドラマでよく見ていたシチュエーションは、いざ当事者側に回ると生きた心地がしない…。
手を組み、無事手術が終わりますようにと祈っていると舘さんとしょっぴーが駆け寄ってきた。
渡「夏樹は?!」
まだという意味で首を振るとしょっぴーが俺の隣にドカッと座った。
がっくり頭を下げていてしょっぴーも気が気じゃないんだと思うとぽたぽたと雫が垂れる音がした。
舘「翔太…」
渡「なんで夏樹がこんな目に遭わなきゃなんねぇの…?」
舘さんに肩を抱かれながら泣くしょっぴーは昔夏樹と不仲だったが、今は岩本くんとふっかさん並に夏樹の事を大事にしてる人だ。
しかもすぐに駆けつけたいのに仕事をしなきゃいけない事もあって張り詰めていた糸が切れたんだろう。
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1時間か…2時間か…もしかしたらそんなに時間は経ってないかもしれないけど、この時間は凄く長く感じる…。
佐久間に宥められながら泣いているラウをぼんやり眺めているとフッと点っていた手術中の明かりが消えた。
深「終わった…?」
そう俺が零すと皆がバッと顔を上げ、手術室の扉を見つめる。
扉が開き、まずは執刀医だろう医者が出てきた。
岩「夏樹は?!」
「一命は取り留めました。」
ラ「良かった…っ」
「傷口が内臓にまで達していたので暫くは入院して頂きます。」
舘「今後の生活に支障はありますか?」
「目覚めないと分かりませんが、傷口は全て綺麗に縫合しましたので後は御本人の回復力次第です。」
ベッドに乗せられた夏樹が手術室から出てくると康二と阿部ちゃんが駆け寄った。
阿「夏樹…っ」
向「夏樹くん…」
「病室にご案内します。」
ベッドで眠る夏樹の顔色は幾分マシになっていて安堵した俺は身体の力が抜け、座り込みそうになった所を照が支えてくれた。
深「わりぃ…」
岩「病室行こ。」
看護師さんの案内で夏樹が運ばれた病室に入ると心電図などの機器に囲まれた中に夏樹が居た。
広めの個室はソファーベッドもあり、1人は確実に泊まれそうな雰囲気だった。
「言って頂ければ簡易ベッドもご用意しますので。」
そう言って看護師さんは病室を出て行った。
佐「どれくらいで目覚ますかな…?」
深「……。」
こんな時でも俺達には仕事がある。
それが今は憎らしかった…。
続きます.
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作者名:おにぎり | 作成日時:2023年7月10日 15時