阿部家の長女 Ryouhei.A

妹の元気を出す作戦 ページ20

涼太Side









朝、声かけた時なんか隠すようにして逃げて行った亮花。


亮花は、良くも悪くも隠すことがとっても上手。


そして、俺たちの知らないところで、少しずつ壊れていく。


でも、変にプライドの高い亮花のことだ。


こちらから、声をかけても、大丈夫の一点張り。


何一つ、有力なことは聞き出せない。


サクマに聞いてきてもらうのもいい方法かもしれないけど…


なんせ、サクマは約束をきちんと守る犬なのだ。


きっと、亮花に、皆には黙っていてほしいと言われたら、サクマは俺たちには話してくれないだろう。


今までにも、溜め込み過ぎて過労で倒れたり、ストレスで情緒が不安定になったり、何回もそんなことがあったのに…


亮花も、懲りないやつだから、同じことを何回も繰り返す。


取り敢えず、亮花の大好きな甘いものでも作って、生を出してもらおうと思ったのに。


そのフレンチトーストは、ラップをかけられ、机の上に置かれている状態。


朝から大忙しの亮花は、年下組と俺が食べ終わってから一度もリビングに顔を出していない。


年下組を玄関で見送った後も帰ってこない。


すっかり冷めてしまった、フレンチトースト。


これじゃ、美味しくないから。


亮花が来たら、翔太のと一緒に温めなおそう。


今の、俺にできることはそれしかないから。

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