点描の唄【桃】 (ページ33)

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第32歌ページ33

side:Sakuma

ふっかに言われて顔に出さないようにしながらも必死に探した。

左側の2階席

ライブ中ずっと探してたけど中々見つけられなくてもしかしたらほんとにふっかの見間違えかもって思った。

でも、見つけた。

アンコールの時に俺がファンサしてて、パッと上を向いたら俺の団扇とピンク色のペンラを握って俺より後ろの方を見ている人がいた。

あの位置…ずっと団扇で顔隠してた人だ。

ほんとにいたんだ…

俺の後ろにいるのは確かラウールかな？そっちを見てて俺が見てるのに全然気づかない

最後の曲も終わって裏に掃けたら適当に誤魔化して外に走った。

途中で皆から驚かれたり止められたりしたけど、申し訳ないけどそれどころじゃないの

適当に着替えて帽子と眼鏡を付けて外に出たらまだまだ人が沢山いた。

この大人数の中にいるたった1人の大好きな人を見つける。

無謀かも知れないけど、出来ないかもだけど…やらなきゃ後悔する。絶対に

そう思って必死に探したらある1人の後ろ姿が見えた。

会場で見つけた時と同じ髪型、同じ服装で俺がいる方向とは真反対の道をゆっくり歩いていた。

他に人はいなくて道端にある光に照らされてその人の影だけが伸びていく。

その人はふと横を見て儚い雰囲気を漂よっていて今にも消えてしまいそうに見えた。

佐久間「A！！！」

多分人生の中でいちばん早く走れてるんじゃないかってくらいの速さで走って行く。

振り向いた君の顔は今にも泣きそうな顔で、その顔はAがいなくなる前としていた表情と一緒だった。

あともう少しで触れれると言う時にAが走り出そうとしたのを見て全力で抱きつく。

佐久間「A」

息を切らしながらも君の名前を口にした。

「…佐久間…さん。離れて下さい。」

久しぶりに会ったAはもういつものように「だいちゃん」とは呼んでくれなかった。

どこまでも鈍感で当たり前が壊れることに気づけなかった俺に怒って欲しい

いや、多分もう怒ってるんだろうな…

それでも俺はAを好いている。

だから、

佐久間「やだ、もう二度と離さないよ」

「っ…佐久間さんにとっては…私は…邪魔で…」

佐久間「そんなことない」

「いなくなって…ほしかったんでしょ？」

俺の言葉を聞かずに泣きながら予想外の事を言われて驚いた。

俺はそんなこと1度も言ったことない…

そんな記憶は無い

なら一体誰に…？