天使と悪魔 (ページ12)

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青の深淵ページ12

「ねっむ…、あ？お前、誰。」

視線を向けた先には眠そうな、人·····？
いや、人なわけない！

足音を鳴らすことに気を使っている場合では無い。
こんなの、逃げる一択だ。

「なんで喋んねーの。誰って聞いてんだけど。お前、フカザワかサクマのリヴィン？」

気づけば彼は目の前まで近づき、スンスンと私の首元を嗅いでそう言った。

「なっ、なにするんですか…！」

かぁぁっと熱が上がる感覚と恐怖が交差しながら咄嗟に彼を突き放す。

リヴィン·····？訳せば、生きている、とかのはずだけど·····。
それに他にも仲間がいるの？

あの悪魔と同じ薄グレーの瞳に睨まれれば駆け出したい足は鉛のように重く動かなくなってしまう。

まさに蛇に睨まれたカエル、足が竦んで目の前が真っ暗だ。
あぁ、なぜこんなにも私は怖い思いをしているんだ。

「もしリヴィンなら、俺に乗り換えね？」

ギラリと向けた獲物を狙うような目は、数分前に突き飛ばした悪魔とは違う青。

ほんとに、なんなのっ、この家·····！！
目の前の悪魔だろう彼の質問に答えることなく全力疾走。

「あ、おいっ…！」

彼の声に耳を傾けることなく、来た道を戻る。
とりあえずどこかに隠れなきゃ。

彼の視界から消えてしばらく進んだ目の前には、ほかの扉とは違う頑丈な鉄の扉。

お願い、開いて。
ここに隠れさせて。

そう願ってドアノブを引けばギィッと音を立てて扉が開いていく。

ごくり、と唾を飲み込んで私はその先へ足を踏み込む。

「また階段…？」

目の前には白く上に伸びる階段が続いてた。
見上げれば登った先は外のようだった。

階段を1つずつ登れば登るほど、夜の風が体を掠めていく。
ちょっと寒いな…。

飛び越えられそうなフェンスに少し身体を預けて月を見上げる。
逃げるのにも疲れたのかもしれない。

「みーつけた。」

そんな声に身体がびくりと反応する。

「なんで逃げるんだよ。逃げる場所なんてないのわかんない？」

振り向いた先には数分前に突き飛ばしたはずの彼がいた。
変わらず鋭い目の奥には哀しさが見えて。

でも、なぜだろうか。

あの時より私は冷静だった。やっぱりもう疲れたんだ。

「私を連れ戻しに来たんですか？」

「そんなとこ。逃げられても困るし。俺たちの存在を知って帰す訳にもいかないから。」

俺たち、って言った。やっぱり、さっきの人も…。

「存在がバレなきゃいいんですね？」

「そう、だから、」

彼らは存在を知られたくない。
なら、答えはひとつだ。