天使と悪魔 (ページ11)

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右か左か又は死かページ11

パタリと閉まった扉の前に私は立ち尽くしていた。

部屋を出た今、突然生死を賭けた究極の選択を迫られてしまっているのだ。

ここからどう逃げればいいのか。ちっとも考えが纏まっていない。
長く悩んでいる時間はない。痛みに解放されたら彼はまたやってくるだろう。

はぁ、と一息、息を吐いて少し高い天井を見上げれば、沢山のシャンデリアがキラキラと輝いていた。

何気に広いこの家。左右に長々と続く廊下。
左へ行くか右へ行くか。

またはどこかの部屋に身を潜めるか。
とにかく出口を探すしかない。そう思った私は、廊下が続く左へと足を向けた。

歩くに連れて見えてきた開けた場所。そして目の前に現れた階段。

ここを降りたら１階へ行ける…。
ゴクリと生唾を飲み込んだ。

いや、まて、まてまて。落ち着け。
どう見てもこの階段は正面の階段だ。正面から堂々と帰れるわけが無い！

違う、こっちは正解ルートじゃない。

進みかけた足を止め、私は開放感のない壁沿いの廊下へと方向を変える。

廊下は一本道。反対方向から誰かが来たら終わりだ。
声を殺してひっそりと歩く。

ひっそりと歩かなければ音が鳴ってしまいそうな静かな廊下。
ふと、窓に視線を向ければひっそりと月が覗いていた。

「綺麗…。」

こんな、はずじゃなかった。短い時間の中で、たくさんの事が起きすぎて疲れたのかもしれない。

気づかずうちに私は月を眺めすぎていたんだと思う。

突然、コツ、と床を鳴らす足音にハッと我に返る。
誰が来た、まさかさっきの悪魔…！？