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仲の良かった親友と大学が離れ、何となく寂しさを感じていた。
とはいえ、こっちはこっちで仲のいい友達も出来たし、もともと人と話すのが得意なタイプだから、そこまで困ることも無かった。
…それに、地元の方には彼氏がいる。
同じ高校の人で、それなりに仲の良かった男子。
…でも、同棲していた家には、もう3週間近く帰って来ていない。
［いつ帰るの？］と送ったメッセージには既読すらついていない。
沙織「…ねぇ、A、最近元気無いね…彼氏まだ帰って来てないの…？」
友達が心配そうに顔を覗き込んでくる。
A「…うん、でも何となく遊ばれてるのはわかるから、新しい出会い見つけよーかな？」
沙織「…うん…あ、！そういうことなら…！」
A「…？」
沙織「今日の夜、色んな市内の大学の人集めた合コンがあるんだけどさー」
A「合コン…？」
沙織「うん、男女3人ずつなんだけど、女子の1人が体調崩しちゃってさ」
…浮気されているとは決まったわけではない。まあ、ほぼ決まっているようなものだけど。
…でも、彼氏がいるのに合コンに行くのは気が引ける。
A「でも……」
沙織「…なら、人数合わせで参加したら？気分転換も必要だよ？最近ずっとうかない感じだしさ」
しばらく考えて、私はコクリと頷いた。
沙織「よしっ！なら20時に居酒屋！後でお店教えるね」
A「うん」
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それからずっとぼーっ、としたまま講義を受け、家に帰る。
玄関先に置いている2つのスリッパのうち、赤色の方を多少乱雑に履き、そのままベッドにぼすんと倒れる。
(服、何着ようかな)
頭でぼんやりとそんなことを考えながら、シャワーを浴びに行く。
色違いのタオルだったり、ここ最近は彼とのペアのものだったりを見る度に心がずん、と沈む。
A「楓…」
こういう時に、親友の楓と話がしたい。
あの子も今恋をしているのだろうか。
楓「…」
シャワーを浴びて、もやもやした気持ちを誤魔化すため、好きな音楽を流しながら服を決めた。
(これでいいかな)
女の子らしい服装より、ボーイッシュなものが合うと思う。
特別な服というわけでもない、友達と出かけるときにも何度か着ていったこともある。
いい加減、帰ってこないことがほぼ確定している彼氏のことなんか忘れて、新しい人を作ろうと思っている。
(…もうあまり時間がない。)
手早にメイクとヘアセットを済ませ、家を出た。
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作者名：蝶朱 | 作成日時：2019年12月3日 21時
