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エルギス中央部 ・ 議事堂 。
ここは政治の場に なっている他 、 女王の住み処 でもある 。
白く真っ白に 染め上げられた 美しい部屋に、 黒い軍服を着た男がいた 。
瞳は深い紫色で、その一挙手一投足 には 一ミリの 無駄も無い 。
それもそのはず 。 この男は 女王によって 作られた
能力者一派・SnowMan の 副隊長 なのだから 。
｢ 能力者が減る気配 が 伺えないですね。カトレア、貴方たちが頼りなのです。 能力者を一掃 してくださいな ｣
｢ 勿論です。国のためのお力となれるよう、精一杯 努力させて頂きます ｣
此方も無駄の無い 発音に、女王は嬉しそうに 目を細めた 。
｢ まあ美しい。カトレア、貴方は本当に素敵ね ｣
｢ 女王陛下にお褒めのお言葉を 戴けるなんて。とても 光栄に存じます ｣
｢ … そちらの渡辺も、見習ってほしいこと。 貴族のような 振る舞い、 国民に示しが付きませんわ ｣
女王が 軽蔑の目で 見下すと、 紫色の瞳の男は 口元を 三日月の形に 変えた。
｢ .. 女王陛下、渡辺は私の仲間に御座います。慎まれますよう ｣
｢ … あらまあ、逆らう気？ ｣
まだまだ 余裕っぷりを 残す女王に、男は 首を横に振る 。
｢ 女王陛下、何をおっしゃるのです。私どもは逆らいません。.. 仲間を傷つけないのであれば、ですが ｣
｢ … カトレア、貴方はよく煽るわね。 嫌いではありませんよ ｣
そう言いつつも、 女王の瞳は険しくなってゆく 。
男の細く白い手には、グラシエの能力である 氷が 生み出されていた 。
この男は 、 女王であっても 敵に回しては ならない 。
｢ .. そろそろ時間よ。お下がりなさい ｣
｢ ふふ、承知致しました ｣
氷を掌から少し覗かせたまま 、 男は微笑を崩さず 、 姿勢を保って 女王の御前を 出ていった 。
この男は 、 感情表現に親しむ 女王でさえ 、 感情が読めない 。
｢ .. 恐ろしい怪物だこと ｣
女王はあの男の 腹黒さに 、 寒気を 感じた 。
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作者名：# 朝霧 。 | 作成日時：2023年11月4日 12時
