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改めて見ると 掌に収まる小ささなものの 、 そのブローチが放つ存在感は 圧倒的だ 。
目黒と向井も 小さく息を呑む 。 それを知ってか知らずか 、 佐久間は嬉しそうに 話し出した 。
桃 ｢ これはね、 " エフェメラル " っていう花の妖精に 、 『 彼女は広く富んだ緑の街に 雨のような花々を降らせ 、 美しい大きな花を咲かせた 』 っていう話があってね？ それを元に伝説の職人・アルバードが 作ったものなんだ！ ｣
�� ｢ 伝承上の話を形に.. ｣
桃 ｢ 康二 とか めめ が知ってる有名な花の妖精は " チューリ " とかかな。その チューリよりも古くから 緑豊かなエルギスの花々を守ってきたのが 、 エフェメラルだよ ｣
" チューリ " 。 よく母親たちが自然の美しさを語る際 、 自然の女神 として扱う妖精だ 。
慣れ親しんだ その言葉に 、 目黒と向井も 一気に興味をそそられる 。
桃 ｢ " エフェメラル " の伝承はこの 『 彼女は〜… 』の話だけだから 、 かなり幻の妖精として 認識されやすいんだよね 。俺も初めそう思ってたんだけど！ ｣
橙 ｢ じゃあなんで 一つだけ 伝わってるん？ ｣
桃 ｢ フッフッフ、実はね 、 アルバードが " エフェメラル " と一生を共にした っていう情報が伝記にあるんだ 。 不確かではあるんだけど 、 アルバードの家から 会わないと貰えないはずの " エフェメラル " の雫花が見つかったから 、 数百年前のその情報は かなり有力視されてるのよ！ ｣
�� ｢ アルバード、さん？ っていう人が その妖精の情報を 『 彼女は〜… 』だけ 書き記したってこと？ ｣
桃 ｢ そゆこと〜〜！！ ｣
あまり知らない話 がここまで 詳しく残されているのなら 、 まだ訊いてみたい 。
向井と目黒 は 時間を忘れて 、 佐久間の妖精語り を 聞き込んでいた 。
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作者名：# 朝霧 。 | 作成日時：2023年11月4日 12時
