Hoffnung (ページ42)

今日:33 hit、昨日:12 hit、合計:262,415 hit

唯一無二ページ42

·

｢翔太～、ちょっと来て～｣

｢なんだよ｣

｢ここなんだけどさ｣

｢あ～、ここか｣

｢ん、じゃあよろしく｣

｢は!?ちょっ、おいｯ!｣

…

｢翔太くん!今日もかっこいい!｣

｢ｯありがとう…｣

｢なに～?翔太、照れてんの～?｣

｢は?んなわけないしｯ!｣

｢ﾌﾌｯ翔太くんかわいい!｣

｢全く素直じゃないな～｣

…

｢翔太、最近鈍ってない?トレーニングするか?｣

｢…ﾊｯ大丈夫!間に合ってる!｣

｢?そうか…｣

｢照のトレーニングきついもんね(ｺｿｯ｣

｢流石に今は無理…俺昨日任務あったばっか…(ｺｿｯ｣

｢照も面白いね笑(ｺｿｯ｣

…

｢翔太く～ん!一緒に遊びません?｣

｢またかよ?…まあ、別にいいけど｣

｢翔太くん、ほんと素直じゃないですね｣

｢…なんか目黒に言われるとムカつく｣

…

宮舘は楽しそうにしている渡辺の姿を見ていると決まってここに来てよかった

そう心から思う

心なしかうざったそうにしている時も構ってくれないと寂しそうな顔をする

…昔の渡辺は感情を表に出さなかった

小学6年生まではごく普通の子だった

でも、6年生の冬

友達と別れいつも通りの帰り道

ん?何か家の方から声が聞こえる

胸騒ぎがするが、何かあるのかと好奇心で家に向かって走った

ﾄﾞｻｯ

衝撃のあまり持っていた鞄を落とす

｢…ｯ嘘だろ?父さん!母さん!｣

家が全焼していた

既に消防や警察が駆けつけていたが

炎が大きすぎて未だに消せていない

周りの住民も家から出ていた

渡辺は家に向かって走った

だが、消防士に止められてしまった

｢ｯ父さん!母さん!｣

泣き叫んだ

こんなことになるなんて思ってなかった

一刻も早く無事なのか確認したかった

でも、なんとなく嫌な予感はしていて…

警察にとりあえず保護をされた

｢君はあそこの子なんだね?｣

｢…はい｣

｢今から言う事、受け入れ難いかもしれないけど聞いてね｣

｢君のお父さんとお母さんは…残念だけれど｣

｢ｯもうそれ以上言わないでください｣

もう警察の話し方で両親が亡くなったということは分かった

警察はすごく申し訳なさそうで

消防車が到着した頃には既に家は燃えていて

あと一歩遅ければ周りの家に燃え移っていたという

なんでなんだろう

なんでこんなことになったんだろう

誰が朝の父さんとの何気ない会話が最後になると思う?

誰が母さんの行ってらっしゃいが最後の会話だと思う?

分かってはいるけど、受け入れることなんて無理だった

｢ｯ翔太!｣