Hoffnung (ページ30)

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｢ねえ、ちょっと大事な話があるんだ｣

一緒に来てほしいと

わかりましたと言って着いていく

職員室の奥、普段入ることの無いような場所だった

落ち着いて聞いてねと悲しそうな顔で言われる

覚悟を決めて話を聞くと

｢お母さんがね病気でなくなったの｣

｢がんだったんだって｣

そう告げられた

え?病気?そんな素振りはなかった…ｯ!!

改めて思い返すと不思議なことはあった

たまに顔を歪ませたり咳が多いときがあった

それが起きたのは中2の夏

そんな時から母は苦しんでいた

気づけなかった自分が憎かった

一緒に病院に行こうか

そう言われて病院に向かう

母は霊安室にいた

顔に乗せてある布をめくるとそこには安らかに眠る母の姿

それを見た途端泣き崩れてしまった

最近落ち着いてきたからそろそろ一緒に暮らそうか

そんな話も出ていた

また一緒に暮らすんじゃなかったのか

何で2人とも俺を置いていくんだと

施設の人に支えられながら部屋をでた

その時に医師から渡された

母からの手紙だった

亮平へ

まず、病気のこと隠してしまってごめんなさい

あなたの悲しむ姿を想像したら言いたくなかったの

あなたには笑顔でいてほしかったから

子供よりも先に逝ってしまう私は母親失格ね

治せることなら治したかった

でも、もう手遅れだったの

あなたの笑顔が見れることが唯一の幸せだった

あなたと話すのが私の生き甲斐だった

こんな母親でごめんね

父さんとあなたを空から見守っているわ

幸せに暮らしてね

母より

泣き止むことはなかった

自分が呑気に暮らしている時母さんはずっと苦しんでいた

自分が憎くて憎くてしょうがなかった

大切な人をこの手で守れなかった

その事が頭から離れなかった

それからは学校に行ってもひたすら勉強

施設でもほとんど家に籠もっていた

そう、彼とは阿部亮平のことである

嫌な事思い出したな～と思いふける

不意に涙が零れた

その時、ｶﾞﾁｬｯと音がした

そこを見ると深澤が立っていた

｢ラウールが寝れないって言うから一緒に部屋に居たら何か鼻すする音が聞こえて音たどったら阿部ちゃんじゃん笑｣と言う

外に聞こえていた…ということはラウールにも聞こえていた?

｢ラウには聞こえてないよ。だいぶ前に寝たから｣

深澤には思考が読まれていた

隣に座る

｢もう大丈夫。俺たちはいなくならないよ｣

そう言って抱きしめた

阿部は思わず涙が溢れた

もう抱え込まないでね

そう深澤は心の中で告げる