Hoffnung (ページ44)

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宮舘はカフェ、渡辺は某広告会社に勤めていた

ある日いつも通りに宮舘が働いていると

｢ねえ、そこの店員さん｣

と不意に声をかけられた

宮舘は料理も作るが、接客もしていた

｢はい、何かありましたか?｣

｢これ、なんの食材使ってるんですか!?こんな美味しいパスタ食べたの初めてで！｣

目をキラキラさせて言う小柄な男性

｢あ、このパスタはですね…｣

と一通り説明すると

｢店員さんありがとう!すっごく分かりやすかった!また来ます!｣

と言って店を出ていった

それからは毎日正午に一番端のカウンター席に来る常連さんになっていた

もはやオーナーからも彼が来るといってきなといってくれる

話しているとすぐに打ち解けて、しばらくすると涼太、佐久間と呼ぶようになった

時には相談事を話したり、聞くこともあった

佐久間は謎だ

なんの仕事をしているのか、なんで正午に決まって来るのか

わからないことだらけだった

だが、常連さんだからといって踏み込むのはよくないと

宮舘は聞かずにいた

渡辺にもこの事をよく話していた

へえ、そんな奴いるんだとあまり興味はなさそうだが

ある日の夜、給料が入ったからと久しぶりに外食をした

渡辺は涼太の料理でいいのに…と少し不貞腐れ気味だ

帰り道、宮舘は渡辺の職場の上司の愚痴を聞いていると

ﾎﾟﾂﾎﾟﾂ

｢ｯ雨だ…｣

雨が降ってきてしまった

比較的近い場所だったので歩いていた彼らは急いで近くのシャッターの閉まっている店に行く

｢…傘持ってくればよかったね｣

｢まさか、雨降るなんてな｣

少しここで雨宿りしようと雨が止むのを待っている

すると、1人で雨の中傘もささずに歩いている男性が見えた

宮舘と渡辺がいる所はほとんど人通りがない場所だった

その為凄く目立っている

｢ねえ、涼太、あの人大丈夫かな?｣

｢…｣

｢涼太?｣

｢あ、ごめん、なんかあの後ろ姿見覚えがあって…｣

なんか見たことある…と必死に思い出そうとしていた

｢…ﾊｯ佐久間!?｣

そうだ、彼の後ろ姿だ

いつも笑顔で話してくる彼の姿に見えた

｢え、佐久間ってあの佐久間?｣

｢うん、俺の記憶が正しければ…｣

｢え、尚更ほっとけない。涼太行くよ!｣

｢ｯえ、あ!｣

渡辺が宮舘の手を掴み、走り出す

思い出している間に遠くなっていた彼の姿

走ってくる足音が聞こえたのか

彼は振り返る

…少し警戒している様子だった

｢ｯ佐久間!｣

可能性を信じて声を出す