87 ページ37
後半はどちらも点が入らないまま、平行戦が続いていた。
みんなディフェンスばかりに気を取られているように感じる。
アイツもボールを運ぼうと動き回るが、前半の反省から目をつけられたのかあいつの周りには敵ばかりが集まっていて、動こうにも動けない状態だった。
アイツが動けないとなると、他の選手がフォローしなければならない。
でもみんなディフェンスばかりで前に進もうとする動きが見えない。
誰かが無理をしてでもそこを突破しないと...
監督もそう感じたのか残り5分もない状況で1度選手を集め、
"攻めろ"
たった一言そういったのだった。
ここまで来たらボールを取られてもなんでも、ゴールを狙いに行かなければいけない。一か八かだ。
さっきよりも力強く選手達を送り出した。
そして...
ピーッと大きな笛とともにチャンスが来たのだ。
凄い。ホントにアイツはすごい。
全身が震えるのを感じた。
中に切り込んで行ったアイツが、ゴール近くで相手のファールを買ったのだ。
見事直接フリーキックを獲得したのだった。
応援するみんなが立ち上がって喜んだ。
だがこれが決まらなければ意味はない。
みんながあいつのシュートを見守った。
でもきっとあいつなら大丈夫だ。
だって毎朝練習していたのは、まさにその距離からのシュート。
俺はあの時外してしまった。
あいつと同じくらい練習していたはずなのに。
高校最後のあの夏の記憶が蘇る。
俺もこんな感じでみんなから見つめられていたのかと思うと、みんなの期待を裏切ってしまった事に心が傷んだ。
アイツが狙う場所は多分ど真ん中だろうな。
根拠もなくそう感じた。
一歩、二歩と後ろに下がり、助走をつける。
砂利の跳ねる音ががシーンとした会場全体に響く。
砂利の音が激しくなったと思うと、バンッとボールを蹴り上げる音が響き渡り、次に聞こえたのシュッとネットにボールが吸い込まれる音だった。
その瞬間、開場が一気に歓びの声で包まれた。
強張っていたみんなの表情が一瞬にして明るくなる。
絶対大丈夫だと思っていたはずなのに、どこか俺も不安を感じていたのだろう。
体重が5キロくらい減ったんじゃないかと思うくらい、体が軽くなった。
ふと前を見れば、アイツは生徒たちから囲まれて見えなくなっていた。
やっぱりアイツは人気者だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 540人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のぞみ☆(プロフ) - akkorin317さん» 初めまして〜！コメントありがとうございます！私も同じくジェシゆご大好きマンです...ジェシーさんには一生優吾様のヒーローとでも言いましょうか...とにかくずっと一緒にいて欲しいですね！これからもどうぞよろしくお願いします！ (2020年1月8日 22時) (
レス) id: eb2c41acc4 (このIDを非表示/違反報告)
akkorin317(プロフ) - 初めまして！いつも楽しく、ひやひや、もどかしいぃ〜とかなりながら読んでおります。鈴木先生の件はジェシーちゃん来てー！と心から願わずにはいられませんでした。ジェシゆご大好きマンなので、これからも楽しみにしています。 (2020年1月8日 7時) (レス) id: 05790d9b4e (このIDを非表示/違反報告)
のぞみ☆(プロフ) - sailさん» sail様〜！いつもいつも嬉しいお言葉ありがとうございます...sail様の生活に貢献できてわたくしは幸せでございます！最高のじぇしゆごをお届けできるよう頑張りますので、どうか今年もよろしくお願いいたします^^*) (2020年1月8日 6時) (レス) id: eb2c41acc4 (このIDを非表示/違反報告)
sail(プロフ) - 明けましておめでとうございます！昨年はのぞみ様の小説のお陰でじぇしゆご的に超充実した一年でした！センチメンタルも�眞論萓犬肇献Д昂�のもどかしい距離に悶えながら、毎度のご更新を滅茶苦茶楽しみにしています。今年も陰ながら応援しております…！！ (2020年1月2日 18時) (レス) id: 3614506dac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：のぞみ
| 作成日時：2019年12月22日 20時
